押してダメなら引いてみては――思考停止のススメ:ボクの不安が「働く力」に変わるとき(1/3 ページ)
ビジネスパーソンにとって「思考停止」という言葉は、何となくネガティブなイメージがありますよね。しかし仕事に追われながらも、ときには“頭をからっぽ”にすることも大切。そうすることによって、新たなアイデアが生まれてくるかもしれません。
竹内義晴(たけうち ・よしはる)
1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。
自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。
米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)がある。
連載記事「人生はサーフィンのように」をeBook(電子書籍)にまとめた「やる気が出ない本当の理由」を発売。詳細はこちら。
ビジネスパーソンにとって「思考停止」という言葉には何となくネガティブな響きがあります。なぜなら「思考停止」の一般的な解釈は「考えることや判断の放棄」「問題に目を向けない」「自分で考えずに流れに任せてしまう」などの意味として使われているからです。
また「思考停止」という言葉は、社会的な一般常識と自分の意見の違いを論理的に考えず、他人の意見を感情的に批判する自己中心的な状態のことも差します。
そのためか「思考停止」という言葉をインターネットで検索してみると、その多くの記事は、思考停止状態を「回避する」ための手段が書かれています。
「そんなことやってもムダだよ」「これが普通でしょ?」「昔からそうだよ」で済ませてはいけない。「常に考え」「すばやく判断し」「スピーディーに行動する」のが、正しいビジネスパーソンの姿……というのが一般的な解釈です。
思考するために感じるストレス
しかし忙しいビジネスパーソンのことを思うと、時には「ちょっと考えるのをやめて、違う方法を試してみたら?」とアドバイスしたくなることがあります。
先日、Aさん(30代)の相談にのったときのこと。Aさんはプロジェクトマネージャーとして責任ある仕事をしているので、チームのメンバーに対しても、顧客に対しても、常にベストな判断をしなければなりません。日常考えることは「いかに最高の状態をつくるか」です。
しかし、Aさんはその状態にプレッシャーを抱き始めていました。家に仕事を持ち帰ることも多く、精神的にも肉体的にも休まる暇がなく、疲れを感じ始めていたのです。
それでもAさんは「この状態を乗り切るための方法や計画を考えたい」と話していました。
この言葉を聞いて、私はこう思いました。「頭で考えることはとても大切なこと。けれども、頭の中で理想像と現状のギャップを埋めようとするがあまり、ご自身を追い込んでしまっているのではないか」と。
関連記事
- 不安や悩みを相談できない――そんな人にオススメの方法
職場の人間関係に悩んだり、過大な目標に悲鳴を上げている人も多いのでは。「悩みや不安は人に相談したほうがいい」といった声をよく聞くが、そもそも相談するのが苦手な人はどうすればいいのか。そんな人に「ココロの整理の仕方」を紹介する。 - 上司が部下に言ってはいけない、10のセリフ
会社の中で「課長」が与える影響力は大きい。現場におけるキーパーソンであり、課長次第で、業績も部下の成長も大きく左右される。今の時代、課長が身につけておくべき能力は何だろうか。本連載では、課長が身につけておくべき「上司力」について考えていきたい。 - 「どうしても自信が持てない」「課題だらけですぐパニック」――情けない自分にさよならするには?
必要以上に考えすぎ、誰かに心配してほしい、過去に負った深い傷に反応してしまう――これまでうつのさまざまなパターンを見てきましたが、今回で最後です。自分に自信が持てなくて落ち込みが止まらない。仕事、家庭、自分――課題が一気に押し寄せるとパニックに陥ってしまう。どうしたらそんな自分を卒業できるでしょうか? - うつ病にならないようにする方法
ここ数年増加してきている、うつ病患者。「自分はうつ病になりやすそうな性格だ」と自覚していたちきりんさんは、予防策としていくつかの努力を続けてきたそうです。 - 仕事の生産性を上げるために、私が職場の机でやめたこと
職場の机の上には、実際には仕事と関係ないことも、最高の仕事を生み出す能力に影響を与えるものもすべてあります。自分の机をワークステーションとして考え直してみませんか。 - 職場の将来性、人間関係……5人に4人が仕事で悩みを抱えている
近年、頻繁に取り上げられるようになった職場でのメンタルヘルス問題。「職場の将来性」や「職場の人間関係」など、5人に4人が職場で悩みを抱えているようだ。特定非営利活動法人しごとのみらい調べ。 - やる気は「出す」ものではなく「出る」もの
自分はやる気があるのにほかのスタッフがやる気がなく、「やる気を出そうよ」といってみても、冷たい目で見られるだけ……。楽しく仕事ができる「働きやすい職場」には、仲間のやる気が大事です。「褒める」をテーマに、仲間のやる気を引き出す会話の方法を伝えます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.