直接言っても逆効果――部下の自発性を育てる最初のステップ:ボクの不安が「働く力」に変わるとき(2/2 ページ)
「もっと自発的に行動してくれたらなあ」――部下にこんな要望を持っていたとき、それをそのまま伝えてはいけません。では、部下の自発性を育てるには具体的にどんなことをすればいいのでしょう?
自発的の源泉は「命令」ではなく「楽しさ」
では自発的な部下を育てるためには、具体的にどうしたらいいのでしょうか。私は、自発的の源泉は「命令」ではなく「楽しさ」だと思っています。「自発的になりなさい」と言われるからやるのではなく、「楽しいからやりたくなる」という感覚です。
だからといって「こうすれば仕事は楽しくなります」という安直なものでもないでしょう。そこで今回提案したいのは「何でも言える雰囲気」「何でもできる雰囲気」から作っていくことです。
例えば部下が上司にある提案をしたとき、普通の上司は、すぐに提案の内容をジャッジし「そんな提案はダメだ」と伝えてしまいます。また、部下が想定外の行動を取ったときもそうです。「余計なことをするな」と、まず否定から入ってしまいがちです。
ある中間管理職のOさんは、「行動」と「内容」の評価を分けて伝えるように意識しているそうです。どんな突飛な提案であっても、まずは「ありがとう」と伝える。こうすることで、提案の「内容」はともかく部下が提案した「行動」は評価されることになります。
Oさんはこう言います。「上司に自分の考えを発言するのは勇気がいることです。それなのに、なんでもかんでも否定され続けていると、提案しようと思う自発性自体を削いでしまいます。そこで、内容はともかく、提案しようと思ったこと、そして提案してくれたことはきちんと評価したいし、その勇気をたたえたいと思ったんです。もし、内容的に補完したり修正したりする必要があれば、そのあとで伝えればいいじゃないですか」と。
多くの人が「もっとこうしたほうが簡単なんじゃないか」「もっとこしたほうがより良くなるんじゃないか」という意見を持っています。それを言わせるか、言わせないかは雰囲気次第。その雰囲気を作るのが、自発性を育てる最初のステップだと思います。自分の提案に耳を傾けてくれたらうれしい。それが、次の「言ってもいいんだな」「やってもいいんだな」を育てていくのだと思います。
部下が自ら進んで行動してくれたら上司自身も楽になるし、本来やるべき仕事ができるようになります。「自発的になりなさい」と直接的に伝えるよりも、楽しく働ける環境を作ることから意識してみてはどうでしょうか。
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