話の中に数字を入れると“それらしく”聞こえる:あなたの話の9割は相手に伝わっていません(2/4 ページ)
ビジネスにおいて、相手の心に残る話し方をするのは重要だ。便利なのが、話の中に具体的な数字を入れることである。説得力が増す話し方として、押さえておきたいポイントだ。
たとえ話も効果的に使いたい
また、数字だけでなく、たとえ話もぜひ使いたい。とはいっても「決まり文句」というのはなるべく避けたい。
ビジネス用語ではないが「バケツをひっくりかえしたような雨」などというのは、言い古されているから印象に残らない。まあギャグとして「今日はバケツをひっくりかえしたような雨だね」と言うのなら、まだ許されるだろうが……。「東京ドーム3つ分」などの言い方も「決まり文句」に近い。確かに広さは分かるが、多くの人が使うようになると、聞き飽きている表現だから心に響かない。
5、6年前だが、軽井沢で研修をしたことがある。大きな商社の研修施設があったが、建物の高さ制限があった。そのために敷地が広く、休憩時間にトイレや部屋へ移動するのにやたらに時間がかかった。
担当者は「先生、申し訳ありません。この地域は高さの制限があるので、そのぶん横に広がってしまっているんです。14階建ての建物を横にしたと思ってください。そこを歩くのは大変なんです」と話してくれた。
「なるほど、14階建てを横にした感じか、やはり移動に時間がかかるはずだ」と妙に納得した記憶がある。へたに「何平米」などと数字で説明されるよりは、場合によってはたとえのほうが分かりやすいものだと思った。
ここで答えは出さないが、いくつか例題を出してみよう。普段からこのようなたとえは練習しておこう。聞いた相手がなるほどと思い、うなるようなら上出来である。
- 【例題1】白さをたとえてみよう。
「〜のような白」である。雪のようなというのは言い古されているから、雪以外で考えてみよう。
- 【例題2】広さをたとえてみよう。
「〜くらい、広い」である。東京ドーム何杯、という以外で考えてほしい。
- 【例題3】頭のよさをたとえるなら?
聖徳太子は古いだろう。レオナルド・ダ・ヴィンチのような、というくらいのものを考えてみてほしい。
「例えば」と言ってすぐに実例が出るようにするには、日ごろから“ネタ”を書きとめておくことがよい。「これは何かに使えそう」と思ったらすぐメモしよう。
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