マッキンゼー卒業生が、入社1年で「一生使える」仕事の技術を持てるワケ:マッキンゼー流仕事術(3/3 ページ)
なぜ、マッキンゼー出身者は各業界で活躍できるのでしょうか? その秘密はマッキンゼーの新入社員研修にありました。
マッキンゼー流の新人研修プログラムとは
とはいえ、どんなにヤル気があってもいきなり入社1年目の新人が戦場の最前線に放り込まれてもなんの役にも立ちません。
そこで軍隊のBoot Campのように、新入社員の基礎訓練とも言うべき研修があり、その新人研修プログラムによるトレーニングで、マッキンゼー式の「問題解決」のスキルを徹底して叩き込まれるのです。このトレーニングがなければ、今の私は存在しないと言っても言い過ぎではないと思っています。
何しろマッキンゼーに就職したのは、ほとんど偶然ともいっていいぐらいで、当時の私にとってもマッキンゼーは、「何かよく分からないけれど、すごい人たちがいるところ」という認識だったのですから。
マスコミで情報を扱う仕事に就きたいと思って就職活動していたときに、たまたまテレビで大前研一さん(元マッキンゼーアジア太平洋地区会長)が出演されていた討論番組を見て、その迫力に惹かれました。
「これからは頭の時代、つまり知恵、発想が価値となる時代だ」
その言葉にガツンとやられました。当時はビジネスフレームワークという言葉も、まだ一般的ではなかった時代。情報を自分で分析・加工して、そこから新たな価値を生み出すというところに「なんだか、ワクワクできるかも」というのを直感的に感じたのです。
私は自分でも、どちらかというと「非ロジカル」な、至って直感的な人間で「まあ、なるようになるよね」というタイプだと思います。だからこそ、そんな自分がなぜか今もコンサルタント、エグゼクティブコーチとして仕事をしているのは、「マッキンゼーの、あのトレーニングとOJTがあったから」だと、あらためて感謝したくなります。
それと同時に、実はマッキンゼーで入社1年目に叩き込まれる「問題解決」のスキルは、マッキンゼーの新入社員にしか使えないものではなく、本来はもっと多くのビジネスパーソンの“秘密道具”になるのではないかと思うのです。
私自身も、これまでのキャリアで仕事上の数々の困難な場面で「気が付けばマッキンゼー入社1年目で叩き込まれた問題解決スキルや仕事術を使って」壁を乗り越えてきました。
それも意識して使うというより、自然に自分のスキルの一部分として身についてしまっているからこそ、あの「ドラえもん」の秘密道具を使うときのように、その場で最も必要な論理的思考や本質的分析ができ、そしてそこから導かれる解決策をポケットから取り出すことができるのでしょう。
本連載を読む人にとってのゴールは、論理的思考ができて本質的分析ができ、「世の中はこうだよね」とレクチャーできる人になることではなく、「じゃあ、どうすればいいのか」自分の答えを出せる人になること。
そのための誌上Boot Campを始めましょう。
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