話があちこち飛ぶ上司への対処法:開米のリアリスト思考室
口頭で話があっちこっちに飛ぶ、アイデア先行の思い付き型。そんな人が上司だった場合、その話を実務に収束させるためにどのような工夫ができるでしょう?
こんにちは。社会人の読解力、図解力向上を手掛ける開米瑞浩です。
先日、SMBCコンサルティング主催のビジネスセミナーにて「ロジカル・リスニング」講座の講師を務めたときのこと。こんな悩みを聞きました。
「上司がいろんな話題を広げすぎて、いつも結論が出せないんです」
ああ、ありますね、こういうこと。1週間後のイベントで用意するカレーが何人前必要かを決めたいときに「カレーといえばこの前タイに行ったときに乗った飛行機がピカチュウジェットでさあ、ああいうのいいよね、うちでも何か企画しようか?」なんて話をされても困りますが、そういうレベルで話題を広げすぎる人は割といて、それが上司だと部下は振り回されて苦労します。
そこで「口頭で話があっちこっちに飛ぶ、アイデア先行というか思い付き型。つまり発散ばかりしていて収束が苦手なタイプの人の話を、実務に収束させるためにはどんな工夫があるか?」
というテーマについて何かいいアイデアがあれば教えてください、と知人に相談したところ、いくつか回答をいただきましたので紹介します。
「段取り力」を身に付けて上司の思い付きをコントロールすべき
ぶっちゃけた本音を申し上げると、発散型の人に収束型の議論を求めるのは【無理】と思ったりします。無理という前提に立って、部下としてどう聞き取り対応していくかを磨くしかないというのが考えです。
それは決して否定的な考えではなくて、例えば朝のニュースの、みのもんた氏と女子アナのやりとりのように、好き勝手(に見える)みの氏と、ある程度は聞き流しながら段取りをコントロールする女子アナのような関係になれればよいかと。
「聞き取る」「聞き流す」がカギのように感じました。これを実践すると「ピカチュウの話は後にしてください。で、来場者は何人の見込みですか? そのうち大食いの人の割合は?」という感じで「必要な情報は自分から質問する」ことが必要ですね。
そのためには、「どんな情報が必要なのか」を自分で知っていなければならないので、「上司が手順を指示してくれるからそれに忠実に従っていればいい」という姿勢では務まりません。いわゆる「段取り力」が必要です。
そしてそれができるような人材は「思い付き型上司」にはありがたい存在になります。自分が弱いところを補ってくれるからです。
(上司側からの意見)優秀な収束係を側近に付け、その人から学ぶべき
開米さん、いつも愛読させて頂いております。
さて、私がまさにこのタイプです。私は、収束・調整・伝達に長けたスタッフを常に私の「通訳係」として近くにいてもらいました。彼は自分の私見を挟まず、私の意見の良い部分の抽出と伝達に1年間、徹してくれました。
この1年間で学んだことは、「議論を元の位置にいったん戻す」というテクニックです。今でも私の意見は四方八方に飛び散りますが、すべてにゴムを付けておいて、投げっぱなしではなく自分で回収するような展開を心掛けています。
総括:優秀な収束係を側近に付け、その人から学ぶべき
このコメントは「話があちこち飛ぶ」タイプの社長さん本人からいただきました(笑)。やっぱり「優秀な収束係」との役割分担ができるとうまくいくようですね!
「横道にそれた話題」はParking Lotで未来へ投げる
ファシリテーションの小技として「Parking Lot」というものがあります。
直訳すれば駐車場ですが、横道にそれてしまった話題はホワイトボードの隅っこにPaking Lotの欄を作り、そこに簡単に書きとめておいて、本題に戻ります。
横道にそれた話題は、「その場で話すべきではないが、ネタとして価値はある」ことが多いので、そのようなバッファを設けることで、時間が余ったときに話し合ったり、次回会議のセッティングに役立てられます。
「横道にそれた話題は、『その場で話すべきではないが、ネタとして価値はある』ことが多い」――。確かにそうですね。書き留めておく、ただし本筋とは違うことを意識するために場所を分ける。そして本筋に戻る、というちょっとしたテクニックが有効なのではないかと思いました。
以上、「話があちこち飛ぶ上司への対処法」でした。
※この記事は、誠ブログの開米のリアリスト思考室:話があちこち飛ぶ上司への対処法より転載、編集しています。
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