Googleの成功はモンテッソーリ教育なしには語れない:トップ1%だけが実践している集中力メソッド(3/3 ページ)
Yahoo!のマリッサ・メイヤー氏は、創業期からグーグルを引っ張ってきた陰の立役者の1人ですが、彼女は「モンテッソーリなしに、Googleは理解できない」と語っています。モンテッソーリ教育が子供たちにもたらす効果とその源泉とは?
成績を気にすると「集中」できない
集中力は天賦の才ではありません。「技術」です。技術だから、誰でも後天的に身に付けることができます。モンテッソーリ教育のこどもたちが、大人になって成功するのは集中させる対象を自分の夢や仕事上の課題に変えたからです。
集中すると、人間は周りが気にならなくなります。時間の経過があやふやになります。没頭すると食事や睡眠も忘れてしまうほどです。このときの状態を心理学者チクセントミハイは「フロー体験」と表現しました。
フロー体験中は、自分の持ちうるリソース、能力すべてを1点の課題に集中させ、問題を解決しようとします。身近なところでは、試合中のスポーツ選手のような状態です。
このときにも、報酬や評価、罰則といった外的な要因は逆効果に働きます。「この打席で年俸が決まる」「このバーをクリアすれば優勝だ」「1位にならなければコーチに怒られる」といった外的要因に左右されると集中の糸は途切れ、パフォーマンスは低下し、結果として思うような成果は出ないものです。
一方で、成績優秀者の試合後のインタビューでよく耳にするのは「今日は精一杯、楽しめました」「無心で自分の動きに集中できました」といったものです。
集中スパイラル
私はこうした自律や集中の重要性を考えると、長い人生において成功するには、こうした要素を取り入れた持続可能な成長サイクルを作ることが不可欠だと考えました。それをフレームワークとしてまとめたものが、「集中スパイラル」です。
集中スパイラルでは、前述したリクルートの社訓にも似た、自ら選んで、自ら没頭し、それによって自らを大きく成長させるというスパイラル(何度も何度もこれを繰り返す)ことを提唱しています。
集中スパイラルは、次に挙げる4つの心的プロセスを経て、拡大・増強されていきます。
- 挑戦機会の発見
- 自律的・集中体験
- 達成による幸福感
- 肉体的、精神的な成長
4つのプロセスを経過すると、さらに高次のレベルでまた最初のプロセスを繰り返します。それはまるでらせん階段を登るかのように、1つ1つ、しかし確実にステップアップしていくのです。そして、肉体的・精神的成長を実感できれば、人はさらに高いレベル、さらに複雑な問題に対して挑戦の機会を見つけるのです。そうやって、1〜4のプロセスを何度も、レベルを上げながら、繰り返すことで、その人の能力は飛躍的に高まり、成果を出し、人生を成功に導いていきます。各プロセスの詳細については拙著『トップ1%の人だけが実践している集中力メソッド』で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
常に目標達成できる人は、外的な報酬に動かされているわけではなく、自分で機会を発見し、そこに集中し、自分が成長できるようなスパイラルを組んでいます。長い人生においては、心とスキルの成長は欠かせません。そのためにも、集中体験によって得られた自分への自信ややりきった幸福感が重要なのです。上記の1〜4のプロセスを何度も何度も繰り返しましょう。その結果、あなたは自分でも想像していない「とんでもないところ」まで到達することができるのです
ポイントは仕事でも趣味でも、しっかりとした成果を出したいのであれば、他人から与えられた目標ではなく自ら挑戦機会を作り、ほかのことは考えずに課題に没頭することです。常に自分の能力の限界まで引き出すことが習慣となっている人は、すさまじい勢いで成長・発展していきます。スキルや能力が磨かれるだけでなく、「やりきる力」の源泉となる精神的、肉体的な基盤さえも強化されるのです。
次回はこの集中スパイラルを実際の仕事で、どのように取り入れていくのか。集中できない人はどのようにすれば集中できるのか、について解説したいと思います。お楽しみに!
連載『トップ1%だけが実践している集中力メソッド』とは
成功者ばかりを生み出している幼児教育プログラムのエッセンスをヒントに、大人でも、仕事や夢の実現のために集中力を総動員させるための技術についてまとめたものです。集中力がもたらす奇跡を知りたい方は、ぜひ一読ください。
著者紹介:永田豊志(ながた・とよし)
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
ビジネスマンの「知的生産性の向上」をテーマに精力的に執筆・講演活動も行っている。近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)、『すべての勉強は、「図」でうまくいく』(三笠書房刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
Webサイト: www.showcase-tv.com
Twitterアカウント:@nagatameister
関連記事
- 連載「トップ1%の人だけが実践している思考の法則」
- 連載「トップ3%の人の仕事のルール」
- 連載「稼ぐ人の仕事術」
- 連載「いつでも最高の結果を出せる人の10の習慣」
- GoogleやAmazon、Facebook創設者も――成功者が皆受けた「集中力」教育プログラム
ビジネス、政治、科学、文学とさまざまな分野で才能を発揮する、まさにトップ1%の天才たちに共通していたこと。それは彼らが同じ教育プログラム、それも幼児・初等に「モンテッソーリ教育」というプログラムを受けていたのです。それは……? - 完璧じゃなくていい――40点主義のススメ
頭がよくて要領も悪くないのに仕事ができない、成果が出ない……。その場合、原因は完璧主義にあるのかもしれません。「完璧な仕事をする」という常識は捨てましょう。上司や顧客に書類を出すときも、まずは40点ぐらいで出してみて、そこから調整していくのが“デキる人”なのです。 - 年末年始に身につけたい、トップ1%の人が実践する思考ルール
成功する一握りの人々だけが実践する、共通の「思考の法則」を知るためには、いったん私たちが常識だと考えてきたルールをリセットする必要があります。そして、彼らの行動や考え方に注目し、そのエッセンスを吸収して、その根底にある思考のサイクルを身につけることが重要です。 - 勉強熱心に見えて「大変残念な人」
本や講演を聞いた時に「いい話だった。役に立ちそうだ」と思っただけで、実際には実行しない人。私は「大変残念な人」だと思います。宝の地図はみなさんの手にあるのですから、後は宝を探しに出かけるかどうかだけです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.