第4回 新規事業開発のススメ――社内起業家として成功する:“独立プロフェッショナル”の仕事術(2/2 ページ)
会社にいながらにして新たな事業を創造でき、やりがいを感じながら毎月決まった報酬をもらえる。事業を軌道に乗せたらボーナスも跳ね上がる――。そんな働き方ができるのが、社内起業家だ。
社内起業家の心構え
私にはもともと「早く会社を辞めて独立してみたい、通らなかったら辞めて自分でやるか同業に売り込んででもやるぞ」という気持ちがあったことと、実際の市場で通用する事業プランを描けたことが社内起業に成功したポイントだと思います。
その想いで、次々と社内事業を立ち上げていくうちに、ある時から自分の顧客の課題を解決する企画や新事業の提案をするようになっていました。異なる分野や業種への提案経験を重ねていくうちに次第に精度も上がり、大きな成果につながる結果を残せるようになってきたのです。
もちろん、本来の社内の仕事については人並み以上の成果を上げ、時間を作り出してはコツコツと事業プランを描く――という日々を重ねていました。
社内で自由に発案し、新事業を立ち上げ、さまざまな業種の顧客の事業提案もできるようになり、順風満帆の日々を過ごしている中、ふと気付くと45歳になっていました。このままだと独立の夢は実現しない――と思い始めたちょうどその頃、社内で提案していた新規事業について、社長からさすがにこれはスケールが大きすぎて経営判断できないと言われ、ならばと独立を決意したのでした。
独立する際、事業提案をしていた取引先に退職の挨拶に行ったところ、「その提案事業をあなたにやってほしい」と思わぬ誘いを受けました。独立の夢を実現しようと考えていた私は、「正社員として働くことは難しいですが、業務請負で対応します」とお答えし、その時からIC(インディペンデント・コントラクター)としてのワークスタイルが始まりました。
新規事業の請負といっても、朝から晩まで同じことを定時でやるような働き方ではありませんので、自分のワークバランスを考えながら他の事業の立ち上げやコンサル、セミナー講師など複数企業から業務を請負うことができるICとして活動しています。
長い間、企業内で自分の好きな事業開発の仕事のスキルアップと経験ノウハウを積み重ね、今ではこの分野のプロのICとして活動していますが、企業内起業家として自由に仕事をしていた「社内起業家時代」が一番贅沢な期間だったと思います。
著者プロフィール:久保修(くぼおさむ)
Topdas代表取締役/事業プロデューサー。インディペンデント・コントラクター協会理事。1958年大阪生まれ。京都産業大卒。自動車販売会社や調理器具メーカーで営業を経験。26歳でベンチャー企画会社を興すが失敗し、再び会社員に。リース会社(朝日生命系、三井物産系)で営業。既存の売り方から脱皮し自らが創る企画商品や新規事業を数多く手掛け実績を残す。
そのノウハウを武器に2004年5月独立。民間新規事業プロジェクト、国内外販路開拓がメイン。近畿経済産業局、大阪産業創造館、中小企業基盤整備機構、京都産業21、滋賀県商工会など公的機関の専門家として中小企業支援や講演セミナー、研修講座などで活動している。
ここ数年、ベトナム、ミャンマーなど東南アジア新興国へ活動範囲を広げ、日本企業の海外進出支援や現地企業への指導教育などを手掛けている。直近では、平成24年度経済産業省JAPANブランド海外進出支援において、香港市場調査や現地展示会サポートを実施。
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