残念にならないプレゼン――ピラミッドストラクチャーを使う:マッキンゼー流仕事術(2/2 ページ)
クライアントに分かりやすく納得してもらうプレゼンとそうでないプレゼンの違いは、アイデアがリアルであるかどうか。単なる思い付きではなく、実現できるものであるのか、を見るためでもあるのです。
空、雨、傘のロジックを伝える
何が言いたいのかという1文が定まれば、そこからストーリーは始まります。そのときの基本が「空→雨→傘」のロジックでストーリーを組み立ててみること。例えば「出掛けるときには傘を持っていってください」ということが、いちばん伝えたいことだとしましょう。その伝えたいことが相手に納得してもらえるロジックを展開することがポイント。
すると、次に必要になるのは、その理由です。
「なぜ、傘を持っていくべきなのか?」という理由ですね。空が急速に暗くなって雨雲が出てきているので、傘が必要になるというロジックです。つまり、伝えたいストーリーは、「空には雨雲が出てきている。よって雨が降る可能性が高い。よって傘を持っていくべき」であるということ。
先ほど、最初の「いちばん伝えたいことの1文」には、余計な説明や言い訳を入れないと言いましたが、大事なことは「相手に確実に傘を持たせる」ということ。それなのに、先に「長年、空模様を観察してきた経験があり、こういった色の雲が出ていると……」のような余計な説明を最初にしてしまうと、相手が忙しかったりすると「いいよ、今そんなことは」とNOを出されるかもしれません。
せっかく伝えたいメッセージ自体は相手のメリットになることなのに、相手に負担を与えたり混乱させたりすることで、肝心のことが伝わらないのはもったいない話だと思いませんか。理由の部分でも、要領を得ないような説明や論理的ではない話を入れるのは避けるのが賢明です。
「私が傘を持って出掛けると、いつも晴れて、傘を持っていないと雨に降られるのです」というような理由は、友人との会話ではOKですが、きちんとしたロジックでは成立しません。誰にでも適用できるような根拠がある理由でロジックを成り立たせることが条件です。
「空→雨→傘」のフレームワークを使うと、それが確実にできるわけです。伝えたいストーリーを考えるときには、この「空→雨→傘」をいつも意識してストーリーを組み立ててみてください。
そもそも、なぜ、このようにロジカルにプレゼンをする必要があるのでしょうか。その理由の1つが、クライアントに分かりやすく納得してもらうこと、そして、アイデアがリアルであるかどうか。つまり、単なる思い付きではなく、実現できるものであるのか、を見るためでもあるのです。
これだけ、いろいろなモノやサービスが溢れている世の中に、「こんなものが足りないので欲しいです」とか「これを作ってくれたら買います」というようなものは、もうほとんどありません。だからといって、単なる思い付きだけでは、売れる商品やサービスに結び付かないでしょう。
けれども、そんな世の中でもiPhoneなどのように誰かが頼んだわけではないのに、皆が欲しくなるものが生まれることもあるわけです。そのためには、今、目の前にユーザーがいなくても、空模様を見て、雨が降ることを想定して、その先に傘が必要になることを予測できるような、ロジカルに未来を読む力が必要ではないでしょうか。
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