経済ニュースアプリ「NewsPicks」が有料配信を開始、課金モデルにした狙いは?
経済情報に特化したニュースアプリ「NewsPicks」が、2月のアップデートで一部コンテンツの有料配信を開始した。広告モデルではなく、あえて課金モデルを選んだわけとは。提供元のユーザベースにその狙いを聞いた。
「NewsPicks」。自分が登録している媒体の記事やフォローしているユーザーが選んだ記事が流れる「タイムライン」、NewsPicks内で話題の記事が分かる「トップ20」、そして2月12日に開始した有料コンテンツを閲覧できる「有料記事」の3カテゴリからなる
「NewsPicks」は、経済情報に特化したiPhone、iPad向けのニュースアプリだ。ライセンス契約を交わしたロイターや東洋経済オンライン、ダイヤモンド・オンライン、現代ビジネス、ライフハッカーなど60以上の国内外メディアが配信するコンテンツの中から、自分が気になるテーマの記事やフォローしているユーザーが選んだ(ピックした)記事を閲覧できる。
特徴は、各記事に対してコメントが付けられ、そのコメントに対して同意、支持を表す「LIKE(いいね!)」機能が付いていること。各記事に対するNewsPickes内での評判や各ユーザーのコメントを把握でき、コメント数が多い記事はランキング形式で紹介されるので、そのランキングを見ているだけでも、主要な経済ニュースをカバーできるようになっている。
月額1500円で良質な経済ニュースが読み放題
2月12日には、月額1500円の有料購読プランを開始。登録をすれば、週刊東洋経済、週刊ダイヤモンド、ダウ・ジョーンズ(Dow Jones)、Longine、薬事ニュース、日刊自動車新聞、日刊鉄鋼新聞、日本食糧新聞といった8つの経済媒体が雑誌や新聞で掲載している記事をNewsPicksでも読めるようになった。無料版のNewsPicksがオンラインメディアを中心とした媒体の記事を読めるのに対し、有料プランに登録したNewsPicksでは、紙媒体での展開が中心の専門情報を定額料金で読める、というわけだ。
媒体名 | NewsPicksで読める記事 |
---|---|
週刊東洋経済 | 雑誌「週刊東洋経済」に掲載されている全記事を毎週月曜日の朝5時に配信 |
週刊ダイヤモンド | 経済ビジネス雑誌「週刊ダイヤモンド」の厳選記事を毎週月曜の午前中に配信 |
ダウ・ジョーンズ | ダウ・ジョーンズが発行するThe Wall Street Journal、BARRON’Sからの厳選した日本語の記事(毎日約70本)を配信 |
Longine | 証券アナリストによる、日本株投資のアイデアを配信 |
薬事ニュース | 医薬業界紙。薬価、診療報酬、医薬分業、医療制度改革、企業動向に関する記事を毎週木曜日午前中に約40本配信 |
日刊自動車新聞 | 自動車専門紙の記事を毎日約40本配信 |
日刊鉄鋼新聞 | 鉄鋼業界紙。鉄鋼•非鉄金属メーカーの動向、現在の市中相場や最新の製品・技術を紹介。毎日約10本の記事を配信 |
日本食糧新聞 | 食品業界紙。食品製造・流通業界の動向について毎週月・水・金に約70本の記事を配信 |
NewsPicksを提供するユーザベースは、BtoB向けの企業・業界分析データベース「SPEEDA(スピーダ)」を運用する企業。金融機関、コンサルティング会社、投資会社、事業会社など経営企画に携わる人向けに、専門性の高い企業・業界情報を提供している。企業向けで培ったノウハウを生かしたのが、今回の課金モデルだ。現時点では「実験的な試み」(ユーザーベース)としており、他のニュースアプリが行っている広告配信モデルやその他の課金モデルも含め、新しいニュースメディアのビジネスモデルを模索していきたいとしている。
スマートフォン向けのニュースアプリは、SmartNewsやGunosy、Antenna、LINEニュースなど、多くのプレーヤーが登場している。2014年に入りSmartNewsが300万ユーザー突破、Antennaが200万ユーザー突破をそれぞれ発表しているが、NewsPicksの方針は、「ユーザーの規模拡大(によるコンテンツの無料提供)よりも、良質なコンテンツを求めるユーザーに対価を払ってもらうことで、効率よく重要なニュースを届けるモデルを築いていきたい」というものだ。
実際、NewsPicksを見ていると実名登録をしているユーザーが比較的多く、コメントもいわゆるネット上で炎上を狙うようなものではなく、各記事に対して真摯(しんし)に発言しているものが多い。膨大なユーザー規模を求めないことで、情報感度の高い人が選ぶ記事をコメント付きで読める。現時点ではこうした印象があるNewsPicksが課金モデルのアップデートも含め今度どのようなサービス展開を図っていくのか、ビジネスパーソン向けに役立つ情報収集アプリの1つとして、今後も期待したい。
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