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全従業員のストレスチェック義務化でメンタル不調者は減るのか?:【新連載】700万人メンタル不調時代に効く処方せん(2/3 ページ)
労働安全衛生法の一部改正により、企業は全従業員にストレスチェックを実施する義務が生じました。今回の法改正の狙いとは?
なぜ人は燃え尽きてしまうのか?
ストレス反応というのは、意外と自分自身では気付かないものといわれています。例えば、ハードルはとても高いがやりがいのある仕事に食事や睡眠も削って取り組んでいた場合、本人は好調だと思っていても実は体は悲鳴を上げており、ストレス反応が高まっていることがあります。
こうしたとき、本人はむしろ「絶好調である」と感じてさらに頑張り、結局、燃え尽きて休職してしまう、あるいはそこまでいかなくても心身の不調によりパフォーマンスが低下してしまうということが起こります。
管理職や家族も専門家ではありませんからなかなか気付くのが難しいでしょう。そこで、テストの結果を科学的に数値として理解し、自身の状態を客観的に把握し振り返ることが重要なのです。
さらに、ストレス反応とともにストレッサーを測ることは、高ストレスを生み出す職場固有の問題を浮き彫りにすることにもつながります。部署、役職などいろいろな分析軸でテスト結果を分析することで、例えばこの部署は長時間労働が高ストレス反応に結び付いているとか、この部署は上司と部下のコミュニケーションがうまく取れていないとか、主任や係長クラスの負担が重くなっているとか、構造的な問題が浮かび上がります。こうした結果をもとに、会社は職場改善の取り組みをして、高ストレスを生み出す土壌を改善していくのです。
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