印象が弱い人の言葉は“響かない”――伝わる人の“キャラづくり”とは:表現のプロが教えるスピーチの兵法(1/2 ページ)
人に話を聞いてもらうときには「好印象を与える」ことが重要です。いくらすばらしいスピーチ原稿を用意しても、これがなければ聞き手に響きません。今回は、“聞いてもらえる人”になるためのキャラ作りを考えます。
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本記事は企業実務のコンテンツ「表現のプロが教えるスピーチの兵法」から一部抜粋・編集して掲載しています。
前回の連載記事では、スピーチをする際に相手に植えつけたい自分の印象は、“自ら決めましょう”と提案しました。あれから1カ月。具体的な言葉に落とし込んで考えてみましたか?
「今まで『どんな人物と思われたいか』なんて考えたこともないし、何かピンとこないな〜」という方もいたかもしれませんね。
それでは、こんな場面を思い浮かべてください。
A:「今度、経理に配属された人、知ってる?」
B:「誰? どんな人?」
A:「ほら、あの○○○な人だよ」
“相手に植えつけたい自分の印象”とは、この○○○に入る言葉を考えることです。
○○○の中が、「大阪から転勤してきた背の高い男性だよ」というような、属性や身体的な特徴だけだった場合、その人の印象は周囲に何も伝わっていないといえます。いつまでたっても名前を憶えてもらえないかもしれません。
「明るい人」「優しい人」「真面目な人」など、人の印象を表わす言葉はたくさんあります。形容詞や形容動詞で言葉を考えることがポイントです。
その数はいくつでもかまいません。思いつく限り書き出してみてください。ちなみに、私の今までの経験では、10個あたりでペンが止まる方が多いようです。
好印象を持たれる要素は大きく3つに分類される
心理学の分野で人物の印象についての研究が始まったのは1940年代のアメリカです。その後、現代にいたるまで数々の印象形成の実験が行われています。
これらの実験結果報告によると、人が相手に好印象を与える要素は主に次の3つです。
- 親しみやすさ
- 活動性
- 社会的望ましさ
あなたが書き出した言葉は、3つの要素のどこに入るでしょうか?表1を参考に分類していきましょう。
なお、表内の例にない言葉の場合は、一番近いと思われるものを自分で決めてみてください。
所詮、言語は人間が作り出した便宜上の記号体系でしかありません。とらえ方によって、「優しい」という言葉を「親しみやすさ」に入れる人もいれば、「社会的望ましさ」に入れる人もいます。答えは、「あなただけ」が知っているのです。
その言葉が意味するものはどの要素に入るのか、直感でもいいので考えてみてくださいね。
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