解雇予告の除外認定を受けられるケースとは:ストップ! 解雇トラブル
社員を解雇する場合、30日以上前に予告しなければ「解雇予告手当」を支払う必要があります。それを免除される「解雇予告除外認定」を受けられるのはどんな場合でしょうか。
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本記事は企業実務のコンテンツ「事務ごよみ」から一部抜粋・編集して掲載しています。
「解雇予告除外認定」を受けられるケースとは
前回の記事では、解雇するときに守るべきルールについて解説しました。
では、どんなときに「解雇予告除外認定」を受けることができるのかについて、具体的に見ていきましょう。
1. 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
認定を受けるには「天災事変その他やむを得ない事由」があるだけでは不十分で、そのために「事業の継続が不可能」であることが必要です。また、逆に「事業の継続が不可能」になっても、それが「やむを得ない事由」に起因するものでなければ、本項には該当しません。
労基法解釈例規によると、「やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づき、かつ突発的な事由であることが必要であり、会社として、社会通念上取るべき必要な措置を取っても、どうしようもない状況にあるような場合を指します(図表3参照)。
「事業の継続が不可能」になるとは、事業の全部または大部分の継続が不可能になった場合を指します。ただし、たとえ火事にあったとしても、当該事業場の中心となる重要な建物、設備、機械等が焼失を免れ、多少の社員を解雇すれば従来通り操業できる場合や、操業中止が一時的なもので、近く再開復旧の見込みが明らかであるような場合は含まれないとされています。
2. 労働者の責に帰すべき事由がある場合
「労働者の責に帰すべき事由」の認定事由としては、解雇予告制度によって、社員を保護するに値しないほどの重大または悪質な義務違反ないし背信行為が社員にある場合とされています。
さらに判定にあたっては、社員の地位、職責、勤続年数、勤務状況などを考慮のうえで総合的に判断するものとされ、解釈例規では、次のような「認定基準」が示されています。
- 認定基準
- 極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為のあった場合
- 賭博、風紀紊乱(びんらん)などにより職場規律を乱し、ほかの労働者に悪影響を及ぼす場合
- 雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合
- 他の会社へ転職した場合
- 原則として2週間以上正当な理由なく欠勤し、出勤督促に応じない場合
- 出勤不良または出欠常ならず、数回にわたって注意を受けても改めない場合
なお、この認定基準については就業規則などに規定されている懲戒解雇事由には拘束されず、解釈例規に列挙されている事由をベースに判断がなされますので、申請をしようと考える場合は、列挙事由に該当するかどうかを確認する必要があります。
次回は「解雇予告除外認定」手続きをする際の手順について解説します。
著者プロフィール:井寄奈美(いより なみ)
特定社会保険労務士。著書に『トラブルにならない「会社に有利な」ルールの作り方』『トラブルにならない社員の正しい辞めさせ方』(いずれも日本実業出版社)などがある。著者オフィシャルサイト
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