本当に便利! 手描きメモアプリはSkitchさえあればいい:ビジネスチームハック
Webページやスマホのカメラで撮影した写真にちょっとしたコメントを書き加えたい――そんなときは「Skitch」の出番です。Evernoteが提供する手描きメモアプリはなぜ便利なのでしょうか?
Webページのキャプチャや写真などのデジタルデータにちょっとした注釈などを書き加えたいときに便利なのが手書きメモツール。最近ではもっぱら「Skitch」を使っています。まさにかゆいところに手が届くという表現がぴったりです。
Skitchでできることは、手描き系のアプリとしてはごく一般的です。シンプルな図形を描いたり、線を手描きで引けたり、文字を入力したり、矢印を引っ張れたりします。個人的な印象としては、そのすべてが他のアプリよりもはるかに簡単なのです。
面倒くさくない――それがSkitchの決め手
iPadなどのタブレットが登場した際、筆者は「これこそ手書きのノートをデジタル化するためのものだ!」と思い込んでいました。何はともあれ、紙のノートに書いていた図形や画像付きの文章を、全部デジタルに一元化できるだろうと期待したのです。
もちろん、そのように活用している人も多いことでしょう。ところが、筆者はそういう使い方を一切しなくなってしまいました。理由を考えてみると「とても大変だった」のです。
地図に「ここ!」と書き込んだり、カレンダーに「このへんの日時で!」と書けたらさぞ便利でしょう。ところが紙でやるよりずっと面倒くさい。地図やカレンダーの画面ショットを撮って、それを新しいノートにコピペして、矢印ツールなどを選んで、送信ボタンを押して……。
たしかにSkitchを使ったとしても、やっていることは何ら変わらないハズなのですが何かが違います。このアプリだけが筆者がダウンロードした数々の手描きアプリの中で生き残った理由は、機能が豊富だったからでも、これでなければできないことがあったからでもなく、ただやりたいことが簡単にできたからです。
基本的にアプリの中だけで完結する
メモを手書きするだけなら、iPhoneを使わずとも紙とペンのほうが身近だしラクです。わざわざiPhoneで手書きメモを作る理由は、そこにWebページや地図や写真があるからです。それらをいちいち別のアプリから「入手してくる」という感じを抱かせないユーザーインタフェースになっていることがSkitchの特徴でしょう。
「ほかのアプリで表示したもののスクリーンショットを撮影して、コピー&ペーストする」――こう書いてしまえば、実際にはそんなに大した作業ではありません。しかし、どうにも遠回りさせられている気がします。
しかし、Skitchなら「地図」から住所検索して任意の場所を取り込んだり、「Web」からGoogle検索やURL入力を使って任意のWebページのキャプチャが撮れます。カメラで撮影済みのデータを選択できるだけでなく、Skitchをカメラモードにして写真を撮ることも可能です。
このSkitchだけでいいという感じはとても大事です。筆者などは、いつもSkitchで住所検索やWeb検索をしているかのような感覚になります。
もう1つ、Skitchで特筆したいのは「白いノートの上に写真や地図を置くやり方ではない」ということ。白いノートにいろいろな要素を混在させるのでなく、地図なら地図の上に、写真なら写真の上に手描きメモを追加していく。
文章にすると、これでは融通が利かないように思われますが、地図に手描きで場所を示したいときに写真やWebページの情報は不要ですし、Webページの校正指示に地図はいりません。iPhoneの画面いっぱいに手描きで加工したい材料をパッと用意できるのは、感覚的に使い勝手がいいのです。
手描きメモがクラウド連携すると広がる使い方
MacにもSkitchをインストールして、iPhone版と同じEvernoteアカウントでログインすれば、Skitchのデータはネットワークを介して同期されます。ですから、iPhoneで記入した手描きメモを後からMacで修正するといったこともできます。
情報の共有もとても簡単です。Evernoteのほか、メール、Twitter、Facebook、メッセージなどを選択できます。例えば、校正したWeb画面のメモをメールで送るところまでSkitchで完結します。
いろいろ取り上げましたが、やっぱりSkitchの最大の魅力は、やろうと思ったことをやろうと思ったように、失敗せずにやれることです。筆者はさまざまな手描きアプリを試しましたが、思わぬところで線を引いてしまったり、作業を1つ戻そうとして全部クリアしてしまったり……。完成した手描きメモを共有しようと思ったら連携先がDropboxだけだったということもありました。
Skitchを使っていると、筆者の意図をくじかれた記憶がほとんどないのです。それが気持ちよく使える理由で、いまだに使い続けている理由でもあります。
筆者:佐々木正悟
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。
著書に『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』『クラウド時代のタスク管理の技術』などがある。
ブログ「ライフハック心理学」主宰。
TwitterID:@nokiba
Facebook:佐々木正悟
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