New Millennium Research Council(NMRC)が公表した調査結果によると、シカゴ、フィラデルフィア、ラスベガス、ニューヨーク、サンフランシスコなど数都市で検討されている市営ワイヤレスブロードバンドネットワークは、十分に研究されたものではなく、喧伝されているようなメリットがあるかどうか疑わしいという。
ワシントンに本社を置くNMRCは、公共問題とリレーションシップ管理サービスを専門とするコンサルティング会社Issue Dynamicsの独立子会社。同社の顧客にはSBCやVerizonといった企業も含まれる。これらの企業は、市のWi-Fiサービス提供計画が実現すれば市と競合する可能性がある。
2月3日に公表された報告書の作成者らは、「この計画の検討が十分になされないと、すぐに時代遅れになるかもしれない技術に税金が注ぎ込まれる恐れがある」と警告している。
「市営Wi-Fiネットワークは数々の深刻な問題を抱えている。市当局はこれらの問題を見過ごしたまま、ネットワークを配備、拡張するために何百万ドルもの税金を投入しようとしている」と報告書は指摘する。
「市当局の狙いは立派だが、市営Wi-Fiネットワークの配備は、市の財政ならびに通信業界での競争に悪影響を及ぼす可能性が高く、当局の責任者が約束するような経済成長や雇用を生み出すことはないだろう」と報告書は記している。
「市がWi-Fiネットワークを所有することが、デジタルデバイドの解消にはならず、ブロードバンド市場の競争の促進にもつながらない」(同報告書)
報告書の作成者らは、市営Wi-Fi計画の「重大な欠陥」として、予算を超過した場合にさらに多くの税金がほかの事業から流用される恐れがあること、税金で運営される市の事業がブロードバンド市場に参入する結果、企業間の正当な競争が阻害されること、新たなWi-Fiシステムの構築が経済発展と雇用の創出につながる保証がないこと、ブロードバンドネットワークの導入を目指した、これまでの市の計画が失敗していること、多くの市営Wi-Fi計画の根底にある「作れば活用される」という前提には根拠がないこと、などを挙げている。
こういった問題点が指摘される一方で、市営Wi-Fiネットワークが市に恩恵をもたらすのか失敗に終わるのかを判断するのは時期尚早だとする声もある。テキサス州オースティンを本拠とするWi-Fi Allianceの業務執行ディレクター、フランク・ハンズリック氏によると、まだ大規模なネットワークが構築されていない段階では判断できないという。
「これまでに構築されたのは、ホットスポット的なものやキャンパス規模のネットワークに過ぎない。Wi-Fiは技術として成熟しつつあり、不確実な部分はある程度解消された。Wi-Fiはあらゆる用途で利用されつつある。この技術は機能しており、費用効果にも優れている」とハンズリック氏は話す。
「この技術の欠点は過去数年で洗い出された。フィラデルフィアなどの市が取り組もうとしているチャレンジは、ホットスポットというコンセプトを本格的に実用化することを目指したものだ」(同氏)
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