米Airgo Networksは2月16日、日本法人「エアゴーネットワークス」を開設すると発表した。家電や通信機器のメーカーが多く存在する日本で営業力とサポートを拡充するのが狙い。挨拶に立ったエアゴーネットワークスのロバート・ディマルティーノ社長は、「FTTHの普及した日本では、ブロードバンドを無線化する上で100Mbpsのスループットが求められる。シングルチャネルで100Mbpsをきちんとサポートできる“True MIMO”が重要な役割を果たす」と胸を張った。
Airgoといえば、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術のパイオニア的存在(関連記事)。同社の「True MIMO」は、複数のアンテナをアレイ状に並べたスマートアンテナ技術と、アンテナから入ってくる“複数の信号”を同時に処理できるカスタムDSP技術を中心としたもので、IEEE 802.11a/gのOFDMと組み合わせて最大108Mbps(理論値)のスループットを実現する。
実際の使用環境でも、距離が近ければ、UDPで70Mbps前後、オーバーヘッドの大きいTCP/IPでも40Mbpsの実効速度を叩きだすという。デモンストレーションでは、MPEG-2/10Mbpsでエンコードした動画を無線LAN経由でストリーミング再生。パソコンのデスクトップに4つの画面を並べてみせた。
また、IEEE 802.11a/gとの互換性、そして高速化に伴うエリア拡大もメリットだ。「たとえば、スループットが10Mbpsのアプリケーションなら、従来(IEEE 802.11a/g)の3倍に当たる範囲をカバーできる。しかも、受信側/送信側の一方しかTrue MIMOに対応していない場合でも、2割から3割のエリア拡大が見込める」(エアゴーネットワークス技術アプリケーション担当ディレクターの高樹映児氏)。
同社はTrue MIMOとOFDMを統合したチップセットと各種リファレンスデザインをメーカーに提供しており、既にリンクシスやネットギア、バッファロー、プラネックスなどがTrue MIMO対応の無線LAN製品を発表済み。また、太陽誘電も生産パートナーとして名乗りを上げており、日本市場とのパイプは太い。
ただし、エアゴーが狙っているのはパソコン用の無線LANだけではない。家電への組み込みや4G携帯電話へのチップ提供も視野に入れ、着々と開発を進めている。ディマルティーノ社長は、「テレビなど家電製品のネットワーク化は、日本のメーカーが牽引している」と指摘した上で「今後1-2年のうちに家電や組み込みデバイスなどにも(True MIMOが)採用されるようになるだろう」と予測した。
また、携帯電話向けチップセットを開発する計画も明らかにしている。「消費電力の問題もあり、実現するのは1年後か、それ以降になるだろうが、既にモバイル用途に求められる条件の検討を始めた」。
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