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» 2005年05月09日 08時41分 公開

G-BOOK ALPHA、コンテンツ配信モデルとしての注目点神尾寿の時事日想

地図やクルマの制御ソフトの配信まで視野に入れた、先進的なコンテンツ配信サービスであるG-BOOK ALPHA。期限を区切った音楽コンテンツ配信など、携帯業界の配信モデルとしても学ぶところが多そうだ。

[神尾寿,ITmedia]

 5月2日、メディアラグがトヨタのテレマティクスサービス「G-BOOK ALPHA」向けに“オンデマンド・カーオーディオ”を提供すると発表した(5月2日の記事参照)。G-BOOK ALPHAでのサービス名称は「G-SOUND」になる。これはいわゆる「超流通」方式を用いた音楽配信サービスだ。

 G-BOOK ALPHAのコンテンツ配信モデルで注目すべきポイントは大きく2点ある。

 1つは音楽配信サービスにおいて、かなり柔軟なDRMの運用を行っていることだ。着うたフルなど他の音楽配信サービスで一般的な「無期限」のダウンロード購入はもちろん、「1日間」「7日間」「30日間」といった再生期限付きのダウンロード購入ができる。1日で購入した場合でも、実際は翌日の日付変更までは再生可能なので、音楽レンタルCDの「1泊2日」に近い感覚で利用できる。4月11日の本コラムで、auの「着うたフル」でも再生期限・再生回数の設定が行えるDRMが実装されていると書いたが、G-SOUNDでは同様の機能を一足先に実現した。

 もう1つのポイントが、G-SOUNDを実現するトヨタの超流通コンテンツ配信技術「G-DRM」が、音楽だけにフォーカスしていない点だ。トヨタがG-DRMで目指したのは、フレキシビリティとセキュリティの両立であり、将来的には音楽分野以外にも利用していく予定だ。中でもキラーコンテンツと目されているのが、「地図」である。現在のG-BOOK ALPHAでは対応していないが、カーナビゲーション用デジタル地図の部分更新のニーズは高く、G-DRMはこれを実現できる仕組みになっている。

 さらにロングレンジでは、G-DRMはクルマの制御ソフトウェア配信まで視野に入れている。「将来、クルマの価値のうち価格比で80%がソフトウェアになったとき、そのソフトウェアを最新にしたりリモートで機能向上をするといった時に、安全にソフトウェアを配布・配信できるG-DRMが意味を持ってくる」(トヨタ自動車e-TOYOTA部 友山茂樹部長)

 クルマの価値の8割がソフトウェアというのは、荒唐無稽な話ではない。例えばトヨタのハイブリッドカー「プリウス」の真価が、ハイブリッドシステムの制御ソフトウェアにある事は自動車業界の常識だ。運転システムの電子制御化も急速に進んでおり、クルマの価値や乗り味に占めるソフトウェアの重要性は増してきている。

 このようにG-BOOK ALPHAのコンテンツ配信モデルは、多くの革新的な取り組みを行っている。G-DRMから実際のサービスまで、モバイルIT業界にとっても、将来に向けたケーススタディになるだろう。

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