連載
» 2005年09月21日 12時00分 公開

韓国の金融・バンキング事情 1──クレジットカードも利用可能な決済サービス韓国携帯事情

FeliCaなどを使った決済や金融系のサービスに注目が集まりつつある。クレジットカード大国の韓国では、こうしたサービスはどう提供されているのだろうか。

[佐々木朋美,ITmedia]

 日本では各キャリアが携帯電話による決済サービスの普及に力を入れており、話題に上ることが多くなった。モバイルバンキングも早くから開始され、すっかり定着したサービスの1つといえるだろう。一方韓国でもクレジットカードやバンキングなど、決済・金融サービスはおなじみのサービスとなっている。

 ところでその具体的な内容や実際の利用率はどうなっているのだろうか。韓国の決済・金融サービスの動向を追ってみた。

ICチップを利用する決済サービス

 携帯電話による金融・決済サービスは各キャリアが独自に行っており、それぞれのサービスに互換性はない。提供内容は、バンキング、クレジットカード、証券取引、交通カードなど、どのキャリアもだいたい似通っている。

 SK Telecom(以下、SKT)では2002年11月から「MONETA」という決済サービスを提供している。MONETAでは、クレジットカード、証券、交通カード、ショッピングの4つがサービスの柱となっている。

 利用のためにはまず、MONETA対応携帯端末と、端末に挿入して使うICチップ「MONETAチップ」が必要だ。これはMONETAと提携している各カード会社や銀行、SKTの直営店で発行してもらえるほか、Webサイトからの申請も可能となっている。

 チップ発行後は、これを端末に装着して利用する。交通機関や加盟店専用の受信機に携帯電話を近づけると、赤外線通信によりデータをやり取りする仕組みだ。決済後はMONETA申請時に契約したカード会社や銀行を通じ、特定の口座から金額が引き落とされることになる。

加盟店にて、携帯電話をMONETA専用の受信機に近づけ、取引しているところ

 このほか証券サービスでは、株式の売買や銀行の残高照会、市況や投資情報の照会、チャート分析などができる。ショッピングでは、SKTのデータサービス「NATE」上にあるショップでのショッピングが可能となっている。

 MONETAでは、多くの情報を記録できるICチップを利用するという特徴を活かし「MONETAワールド」というサービスも提供中だ。映画館や図書館、航空会社などの会員証情報を一度に16種類まで保存し、それぞれ個人認証を行えるほか、社員証として使うことも可能となっている。

 KTFの「K・merce」も、SKTと加入手順やサービス内容は似ている。モバイルバンキングサービスはそれぞれ、MONETA、K・merceの中の一部機能という位置づけとなっている。

チップを利用しない「ZOOP」

 LG Telecom(以下、LGT)の場合は、モバイルバンキングの「BankON」と「M-Commerce」に分かれており、後者はチップを利用しないカード決済手段を提供されている。それが「ZOOP」(ズープ)だ。

 ZOOPはHalex Infotech(以下、Halex)という企業が提供している、携帯電話による決済のための技術だ。携帯電話内のメモリにクレジットカード情報が内蔵され、別チップなしに簡単に決済できるのが特徴だ。現在のところM-Commerceで利用できるサービスは、クレジットカード機能、デビットカード機能、会員証機能、会社など施設のメンバー証機能となっている。

 通信は赤外線によって行われ、受信機は既存のクレジットカードリーダにアダプタを接続するだけとなっている。同社は2003年4月には、NTTデータと携帯電話の赤外線通信機能を利用したクレジットカード決済システムの構築に関する技術とノウハウに関する技術提携を行っている。

 また2004年12月には、韓国携帯キャリア3社が同社に対し合計81億ウォン(約8億1000万円)を投資し、同社の持分51%を保有すると発表している。携帯電話決済のさらなる拡大のため、この分野で技術力のあるHalexへの投資を決意したという。

 これは、携帯キャリア3社が決済システムに相互互換性を持たせようと動いていることも意味する。Halexの投資を発表した日、3キャリアは携帯電話決済で利用される受信機に相互互換を持たせるという契約も締結した。今後はキャリアを問わない決済が可能になると同時に、さらにアップグレードしたサービスにも期待できそうだ。

そのほかの携帯電話決済サービス

 携帯電話による決済といえば、キャリア3社によるサービスだけではない。

 オンラインゲームのアイテムを買ったり、音楽配信サイトで音楽を買ったりといった、小額決済の際によく利用されているのが「携帯電話小額決済サービス」だ。決済の際、携帯電話番号を入力すれば、携帯電話の料金と一緒に請求されるという仕組みになっている。決済の上限は10万ウォン(約1万円)と小額だが、ちょっとした購入時に頻繁に利用されており、韓国ではスタンダードな決済方法だ。

McPayクレジットカード決済承認サービスの専用端末機

 さらに個人の自宅でもクレジットカード決済を可能にする「McPayクレジットカード決済承認サービス」もある。たとえばネットショッピングで買った品物を自宅で受け取る際、宅配員が専用の支払い端末を持っていれば、送料や商品代金をその場でクレジット決済できる。

 専用端末に支払う人の携帯電話を連結すれば、携帯電話に決済用の画面が現れる。そこにカード番号や金額などを入力してからカードをリーダに通せば、サーバとの通信が行われて本人確認が終了。支払い手続きも完了するという仕組みだ。領収書の印刷はもちろん、分割払いもできるようになっている。

 韓国ではクレジットカードの利用率が高いというお国柄、クレジット払いに対応したサービスが多いのが特徴だ。これに対しモバイルバンキングはどうなっているのだろうか。次回はLGTへのメールインタビューも含めた、モバイルバンキングの現状を伝える。


佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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