IntelとGSMを推進する業界団体GSM Associationは、ノートPCがもっと簡単に高度なGSMネットワークに接続できるよう協力する意向だ。
Intelと同団体は2月13日、ノートPCにモデムやSIMカードを搭載するためのガイドライン作成で提携すると発表した。
このガイドラインに従えば、ノートPCはWi-Fiだけでなく、自動的にGSM、GPRS、EDGE、HSDPAネットワークにも接続できるようになるとGSM Associationは発表文で述べている。
今回の提携は、Dell、Hewlett-Packard(HP)、Lenovo Group、ソニーなどの大手ノートPCメーカーが自社製品にWAN(ワイドエリアネットワーク)機能を搭載し始めた中で発表された。
これらベンダーの取り組みにより、2005年にはほとんどゼロだったWAN対応ノートPCが、2010年末までには数百万台に増えるとアナリストは見込んでいる。
現時点では、ノートPCメーカー各社の取り組みはさまざまな段階にある。例えば、Lenovoとソニーは一部モデルに直接モデムを組み込んでいる。しかし、4社はいずれもネットワークハードを組み込んだマシンを提供する計画を明らかにしている。
またこれら企業は、ノートPC購入者に通信プランを提供するため、米国ではCingularや(GSMと競合するCDMAを推進している)Verizon、欧州ではVodafoneなどの携帯キャリアと協力してきた。
「この提携は、GSMプラットフォームのアドバンテージと広がりをノートPC市場にもたらす。3Gネットワークの導入が世界中で加速する中で、3GSM世界への接続機能を組み込んだノートPCにより、ユーザーは安全な認証を使ってモバイルブロードバンドサービスにシームレスにアクセスできるというメリットを享受できるようになる」とGSM Associationのロブ・コンウェイCEO(最高経営責任者)は発表文で述べている。
Intelは自社のプロセッサを中心としたハードプラットフォームを開発してきた――これまでに最も成功したのはノートPC向けのCentrinoだ。従って、ノートPCと通信技術をより密接に統合するというのは自然な流れだ。
Intelが考えるとおり、今回の提携でノートPCがWi-Fi、GSM、GPRS、EDGEなど多数の無線ネットワークにアクセスできるようにすれば、ノートPCはもっと便利になる。同社はWiMAXも推進しており、WiMAXはいつかCentrinoに含まれるかもしれないという。
WAN対応ノートPCは2005年には200〜300台だったが、2010年までには2000万台に近づくとEndPoint Technologies Associatesは最新の調査報告書で予測している。
「2005年の出荷台数、そしてコストが低下し利用モデルが改善されるという前提に基づくと、米国のワイヤレスWAN対応ノートPC市場規模は2010年までに2000万台に近づくと思う」とEndPointのロジャー・ケイ社長は述べている。
「ワイヤレスWANは、ユーザーに802.11では得られないものを与える。それは自由だ」とケイ氏は今週リリースした報告書に記している。
「顧客は一度データ通信プランに加入すると、カバレッジエリア内のどこからでも接続できる。カバレッジは予測期間(2010年まで)の間に米国で3Gネットワークに拡大するだろう」(同氏)
「3Gネットワークは現在、米人口の約半分をカバーしており、カバレッジはゆっくりながら着実に広がっているが、利用はまだ少ない。キャリアは利用率が上がらなければ、カバレッジを積極的に広げないだろう。利用率は予測期間の後半に向けて高まるはずだ」と同氏は述べている。
経済的要因も影響する。サービス利用料はたいてい、無制限ダウンロードで月額80ドルかかる。
「この市場を刺激するために、サービス価格をできるだけ早急に引き下げるべきだ。キャリアは毎月定額料金を支払う契約を好まない低所得層にリーチし、時々ネットワークにアクセスしたいというカジュアルユーザーに訴求するために、都度払いのプランを作ることを考えるべきだ」(ケイ氏)
ノートPCメーカーはこのトレンドに注目し、比較的バッテリー駆動時間の長いより小型で軽いマシンの品揃えを増やすことを検討するべきだとケイ氏は記している。4.5ポンド(2キロ)未満のいわゆるミニノートはほとんどのメーカーが提供しているが、概して売り上げに占める割合は低い。
しかし、ワイヤレスWANの利用が増えれば、こうした状況は変わるかもしれない。それに、ユーザーは明るい戸外でも画面が見やすく、軽量でバッテリー駆動時間の長いシステムに引かれる可能性が高い。
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