“声”で差別化するNTT-ME,ADSLやFTTHに向けたVoIPサービスを発表

NTT-MEは,ADSLやFTTHを前提としたVoIP電話サービスとビデオチャットサービスを発表した。一般ユーザーにもVoIPが普及すると判断,他社に先駆けてWAKWAKのメニューに加える。

【国内記事】 2001年7月30日更新

 エヌ・ティ・ティ エムイー(NTT-ME)は7月30日,ADSLやFTTHを前提としたコミュニケーションサービスを発表した。家庭/SOHO向けのVoIP電話「WAKWAK コール・ゴーゴー」。インターネットマンションなどのユーザーに向けたコミュニケーションサービス「WAKWAKパーティ」だ。ADSLの急速な低価格化で,事業者のビジネスモデル再構築が求められる昨今だが,NTT-MEは「音声」という付加価値を加えることで差別化を図る。NTT-ME第4マーケティング本部の金田哲也本部長は,「ADSLをダンピング料金で提供したことで,米国では市場そのものが危うくなった。WAKWAKを値下げしないとは言わないが,(他社の)2000〜3000円というのはリスクのある値段だ」と指摘している。

 またNTT-MEは,自社のサービスブランドを見直し,体系化することも発表した。8月1日から,大企業を対象としたサービスは「Xephion」(ゼフィオン),家庭から中堅企業までに向けたものは「WAKWAK」(わくわく)に統一される。これに伴い,VoIP電話サービスの「Love ME Call」は「WAKWAK コール」に改称。また,WAKWAKのISPメニューとWAKWAKコールをバンドルし,特典としてミニマムチャージ(その月の利用料金が500円未満の場合でも500円を請求するしくみ)をなくした「WAKWAKコールプラス」を8月からラインアップに加える。

WAKWAKコール・ゴーゴー

 そのWAKWAKコールを,ADSLやFTTHといった安価なアクセス回線に対応させたのがWAKWAKコール・ゴーゴーだ。NTT-ME第5マーケティング本部第2営業部の桑原英治部長は,「企業にとってのキラーアプリケーションはといえば,動画や音楽ではない。ビジュアル系も将来的には当たり前になるだろうが,当面はより身近な“音声”だ」と話す。同社では,自社のIPネットワーク網「XePhion」を活用したASPサービスとして,2000年2月からLove ME Callを,また大企業向けにはVoIPで音声とデータ通信を統合した「XePhion ボイスダイレクト」を今年5月から提供してきたが,SOHO・中堅企業といった顧客からは「XePhion ボイスダイレクトと同様のサービスを提供してほしい」という要望が多かったという。

 WAKWAKコール・ゴーゴーを利用すると,企業の場合なら,フレッツ・ADSL回線→地域IP網→フレッツ・ADSL回線という形で,離れた場所にある拠点に「内線」をかけることができる。また,全国54カ所に設けられたWAKWAKコールのVoIPゲートウェイを介して,公衆電話網へ「外線」をかけることも可能だ。この場合,料金は10円/90秒の従量課金。国際通話は,米国1分18円,英国1分29円などWAKWAKコールと同じ料金体系となる。「例えば,1分間の市外通話(県外100キロ以上)を1日に10回以上かければ,一般キャリアよりも安くなる。その上,内線分はまるまるお得だ。少ない回数でもコストメリットの出るサービスと言える」(桑原氏)。なお,着信時や携帯電話との通話に関しては,一般の回線交換ルートを使用するという。

WAKWAKコールのイメージ図(出典:NTT-ME)

 一般ユーザーについても,VoIP基本料金を除き,同様の料金体系が適用されるが,「内線」扱いになるのは同じWAKWAKコール・ゴーゴーユーザーに限定される。ISPサービスとのバンドルが前提のため,料金はISPメニューによって5種類用意された。

WAKWAKコール・ゴーゴーのメニュー一覧

  SOHO/一般ユーザー向け 中規模企業向け
WAKWAKメニュー(データ転送量) ざんまいADSLファイン(4Gバイト/月まで) ざんまいADSLバリュー(8Gバイトまで) ざんまいADSLワイド(無制限) エンタープライズADSL 8(無制限) エンタープライズADSL 16(無制限)
WAKWAK月額料金 1400円 1950円 1万円 2万4800円(別途初期費用1万円) 3万1800円(別途初期費用1万円)
VoIP基本料金(案) 500〜1000円程度 2000円程度
一般電話への通話(案) 10円/90秒(程度)
初期費用 VoIP宅内機器:約5万円(売り切り)

 サービスの開始は9月。ただし,同社では,WAKWAKコールが,すぐにコンシューマー向けサービスとして浸透するとは考えていない。というのも,専用機器のVoIP-TAが約5万円と高価なためだ。「スタートはSOHOが中心になるだろう。しかし,VoIP-TAがコンシューマー向けに量産されれば,価格も1〜2万円にまで下がるはず。マスマーケットでは“電話が安くなる”というサービスに対して感度が高く,2002年明け頃には市場が立ち上がるとみている」(同社)。

マンション向けコミュニケーションサービスで大京と連携

 WAKWAKパーティは,韓国のPC房などで大流行しているビデオチャットに音声を加えたようなサービスだ。H.323準拠のTV会議システムにロビーサーバ機能を加え,複数の人数で画像/音声付きのリアルタイムコミュニケーションを楽しむことができる。また,将来的には麻雀や囲碁・将棋などのゲームサービスも提供するという。ソフトはWAKWAKブロードバンド会員なら無償でダウンロード可能。利用料金は月額500〜1000円を想定している。なお,ユーザーは通話用のヘッドセットやカメラを別途用意する必要があるが,NTT-MEがオプション提供することも検討しているという。

WAKWAKパーティのチャットルームイメージ。音声は8K〜64Kbpsの可変

ビデオチャット付き麻雀ゲームのイメージ図。こちらは11月頃にサービス開始予定

 なお,同日NTT-MEと大京は,北綾瀬にある大京のマンションでWAKWAKパーティの試行サービスを開始したことを発表した(別記事を参照)。

関連リンク
▼ NTT-ME
▼ 大京

[芹澤隆徳 ,ITmedia]

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