音楽配信はブロードバンドとともに広がる?レーベルゲートとドゥーブ・ドットコムは,12月上旬までにNet MD対応の楽曲コンテンツをそろえる。次第に環境が整ってきた音楽配信ビジネスだが……
ソニーマーケティングは9月12日,Net MDに準拠したMDウォークマンなど5機種を発表した。Net MDは,音楽配信(Electronic Music Distribution:EMD)でダウンロードした楽曲データを,ソニーの著作権保護技術「OpenMG」に基づいた形でMDに記録する技術(別記事を参照)。都内で催された発表会には,レーベルゲート(2000年4月の記事を参照)の鷲見和男プロデューサーやドゥーブ・ドットコムの稲垣貴思経営企画室長も同席し,EMDビジネスの見通しを語った。 鷲見氏によると,レーベルゲートには現在17社のレコード会社が参画し,計1396タイトルをラインアップしているという。同社では,12月上旬までに全タイトルをNet MDに対応させる方針だ。「毎月100タイトルのペースで追加している。サービス開始時には約1700タイトルをすべてNet MD対応とする」(鷲見氏)。また,東芝EMIなどの楽曲配信を請け負っているドゥーブ・ドットコムの稲垣氏も,12月上旬までに約200タイトルをNet MDに対応させるとした。楽曲を提供するアーティストには,宇多田ヒカルをはじめ,THE ALFEE,鬼束ちひろ,大黒摩季といったビッグネームが並ぶ。
ダウンロード数などの具体的な数字は挙げなかったが,両社ともADSLに代表される中高速インターネットの活況により,ビジネスの環境が整い始めたという点で認識は一致している。
稲垣氏によると,ドゥーブ・ドットコムでは6月末から急にダウンロード数が伸び,7〜8月はそれまでの倍に匹敵する数字を記録したという。これは,宇多田ヒカルの新曲が配信され始めた時期でもあるのだが,稲垣氏はもう1つの要因を挙げた。「6月頃までは土日にダウンロードする人が多かったが,6月末からは平日でも変わらない状況になった。回線の高速化により,ネットに接続する時間が少ないときでも気軽にダウンロードできるようになったため,と考えている」(稲垣氏)。 大物アーティストの楽曲提供,中高速回線の普及と,EMDを取り巻く環境は確実に進歩している。Net MDにより,ユーザーが慣れ親しんだMDを使うことができるようになったのも追い風だろう。「ブロードバンドという新しいネットワークにNet MDの技術が加わることで,音楽配信ビジネスは急速に拡大する」(ソニーマーケティングの小寺圭社長)。 しかし,EMDは未だPCの利用を前提としたサービスであり,その使い勝手はミニコンポなどの家電製品に比べれば遥かに煩雑だ。ソニーは「PlayStation2」を利用することを「選択肢のひとつ」(同社)として検討しているものの,ネットワークサービスの開始は遅れ気味。また,各EMDサービスの配信システムは統一されておらず,そのうえ1曲350円という価格もレンタルCDなどに比べると割高な印象を受ける。潜在需要は極めて大きい市場ながら,EMDがメジャーアプリケーションとして地位を確立するためには,まだいくつかのハードルを越える必要があるだろう。各社がダウンロード数を公表しないことが,この点を如実に物語っている。
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