Yahoo! BBが乗っ取り? NTT局スペース配分に“早い者勝ち”の弊害

11月20日,ADSL事業者のイー・アクセスが情報通信審議会に対して意見書を提出した。NTT収容局のコロケーションスペースが足りず,サービスに支障をきたしているという。

【国内記事】 2001年11月20日更新

 11月20日,ADSL事業者のイー・アクセスが,情報通信審議会に対して1通の意見書を提出した。NTT局舎内のコロケーションスペースについて,事業者間の不公正が生じているというのだ。

 イー・アクセスが問題としているのは,ADSLサービスを提供するために必要なNTT局舎内のスペース。通常,ADSL事業者は,NTT東西地域会社から空いている場所を有償で借り受け,自社の設備をおいてMDF接続する。しかし,最近になって空きスペースがあるにも関わらず,予約が一杯で「接続不可」と言われるケースが増えたのだという。コロケーションスペースがなければサービスはできない。

 コロケーションの契約は,NTT東西の接続約款に基づいて行われる。まず,該当する収容局についてコロケーションや電源確保の可否を調査する「相互接続点調査」を申請し,可能なら「相互接続点設置申込み」を経て工事に至る。ただし,調査の回答があってから申込みまでの猶予期間が3カ月,さらに,申し込んでから実際に設備を設置するまで,無料保留期間として最大1年3カ月が設けられていたことが今回の問題に繋がる。

 申請は順番に処理されるため,早めに申し込みさえすれば,工事が延びたとしても最大で1年半の間,そのスペースを占有できる。意図的であるか否かは別として,大量の申請を行えば,他事業者のサービスを妨害することになってしまうのだ

コロケーションスペースの差し押さえ合戦

 この問題に対処するため,NTT東西は,10月末に保留期間を短縮するための認可申請を行っている(10月30日の記事を参照)。申請が通れば,調査の回答から設備工事までの猶予期間は,7カ月間に短縮。保留期間の延長も可能だが,その場合は利用時と同じ料金が発生するという。ただし,それでも半年以上の間は無料でスペースを確保できるため,イー・アクセスは意見書の提出に踏み切ったという。

 同社は意見書の中で,「NTT東西がコロケーションスペースの空きがないと主張する全ビル(NTT収容局)について情報を総務省に報告し,NTT東西が自らの設備と他事業者のコロケーション設備を差別的に取り扱っていないか,あるいはスペースが効率的に使われているかどうかをチェックする必要がある」と強い調子で述べている。その上で,NTT東西を含む各事業者から需要予測に基づく計画書を提出させ,総務省がその調停役になることを求めた。

「設備不足の根本的な問題は,実質的な空きスペース不足ではなく,“コロケーションスペースの差し押さえ合戦”に発展していること」(イー・アクセス)。

用意周到な(?)Yahoo! BB

 イー・アクセスは特定の事業者名を挙げてはいないが,ADSL事業者に近い情報筋によると,差し押さえ合戦の口火を切ったのはYahoo! BBに回線を提供するビー・ビー・テクノロジーだという。スケールメリットを追求する同社は,1収容局あたりで数万回線分に相当するコロケーション申請を行っている模様だ。

 また,イー・アクセスの意見書では,NTT東西が自社利用を優遇している可能性についても触れている。「NTT東西自身は社内利用としてコロケーションスペース,MDF,電源,ファイバーを確保している。接続事業者に“不可”と回答している以上,社内利用も当然“不可”になるはずだが,NTT東西の自社利用時には問題がないように見える」。NTT東西の社内利用時には相互接続点調査が不要,という仕組みにも問題があると指摘した。

 NTT収容局内のスペースは限られているが,ADSLの需要は膨らむいっぽう。さらなる普及を促すためには,限られたスペースを有効に活用することが重要になってくる。単に“早い者勝ち”で機械的に配分するのではなく,人の目で判断する仕組みが必要な時期に入ったようだ。

関連記事
▼ NTT東西、コロケーション手続などに関する約款変更を申請。無料保留期間や工事準備期間の短縮

関連リンク
▼ イー・アクセスの意見書(PDF)
▼ NTT東日本のニュースリリース

[芹澤隆徳,ITmedia]

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