エイネットが一般向け無料電話サービスを開始，多彩なe-ビジネスを視野に

ベンチャー企業のエイネットがコンシューマー向けの無料TV電話サービスに乗り出す。クライアントのインストールベースを足がかりとして，将来的にWebコンサルティングやe-ラーニング，遠隔介護といった市場を狙う

【国内記事】

2001年12月3日更新

　エイネットは，インターネットを利用した動画コミュニケーションサービス「Fresh Voice V version」を12月20日より開始する。同サービスは，無料でダウンロードできる専用クライアントソフトを使い，TV電話やチャット，ファイル転送などの機能を利用できるというもの。CATVインターネットに多いプライベートIPアドレスにも対応した点が特徴だ。

　エイネットは，主にLinuxシステムやネットワークの開発・運用を手がける住商情報システム系列のベンチャー企業。昨年10月に「Fresh Voice」をリリースしてからはe-ビジネス分野に注力しており，TV電話機能を付加した「V version」の登場を機に，一般向けのインターネット電話に進出する。無料サービスを通じ，コミュニティを形成したいISPやECサイトに向けてシステムを販売するのが目的だ。また，クライアントのインストールベースを足がかりとして，将来的にはWebコンサルティングやe-ラーニング，遠隔介護といった市場も狙っているという。

　エイネットの西畑好博社長は，「今はPCやカメラを使ったコミュニケーションが浸透する時期。この文化が根付いた頃，われわれのビジネスモデルが活きてくる」と自信を見せた。

豊富な機能を持つクライアントソフト

　同社サイトで無料配布する「Fresh Voiceユーザクライアント」をインストールすると，まず，同社が用意した「Fresh Voiceコミュニティサイト」の登録ページに誘導される。ここでプロフィールを登録（ニックネームなど）すると，電話番号（7桁の数字）が発行され，これを使って相手を呼び出す仕組みだ。オンライン時には，サイト上にユーザーを示すアイコンを表示し，通話の可否をほかのユーザーに知らせることができる。通話したいときは，相手のアイコンをクリックするだけでいい。

アイコンをクリックすると，まず双方に相手のプロフィールが表示される。非公開・着信拒否にすることも可

　コミュニティサイトには約60のカテゴリがあり，共通の趣味を持つユーザーを探すことができる。また，女性ユーザーには有難い，「プロフィール非公開」や「着信拒否」「永久着信拒否」といった機能も備えた。さらに，同社では「知り合いにだけ通知するクローズドな会議室の仕組みも開発中」だ。

　クライアントソフトには，テレビ電話にくわえ，文字チャット，相手に画像（.jpg，.gif，.bmp）を転送するプッシュ機能，相手のブラウザにURLを送るURL誘導，相手のデスクトップ画面をキャプチャーする機能，キャプチャー画面を共有して文字や図形を書き込む「電子チョーク」といった機能がある。ファイル転送やホワイトボードに近いものも含まれており，将来的にe-ラーニングやビデオカンファレンスシステムに発展することが伺える。

画像をプッシュしたところ

　また，Fresh Voiceクライアントは，ユーザーがソフトを起動する度に割り当てられたIPアドレスと電話番号をサーバ側に通知するため，DHCP環境にも対応できるのがメリット。CATVインターネットや企業LANからでも利用できる。ただし，ルータを経由する場合は別途設定が必要になるほか，ファイアウォールやプロキシを経由するケースでは接続できないこともあるという。

　なお，ソフトウェア開発を担当するエイネット執行役員の難波憲示氏によると，「TV電話にはISDN以上の環境が必要だが，会話だけなら56Kbpsモデムで十分だ。試験環境では，33Kbpsモデムでも通話できた」という。

　推奨システム環境は以下の通り。

CPU	MMX Pentium/200MHz以上
メモリ	64Mバイト以上
HDD	500Mバイト以上
サウンド	全二重対応のサウンドボード
マイク	モノラル
スピーカー	モノラル
OS	Windows 98SE以降
ブラウザ	Internet Explorer5.5以降
通信速度	ISDN（64Kbps以上）

関連リンク
Fresh Voiceコミュニティサイト
エイネット

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