eコマースに進出するパルコ・ドット・ティーヴィー

動画配信で知られるパルコ・ドット・ティーヴィーだが,eコマース市場にも注目。12月からはYahoo!ショッピングにも出店する。

【国内記事】 2001年12月4日更新

 インターネットテレビ局「parco.tv」を運営するパルコ・ドット・ティーヴィーは,12月からYahoo!ショッピング内でeコマースを開始した。12月4日に開催されたEC研究会フォーラムで,松井和哉社長が同社のeコマースに対する姿勢について語った。


パルコ・ドット・ティーヴィーの松井和哉社長。parco.tvの「SHIBUYA style」では自ら街頭ファッションインタビューも行う

 パルコ・ドット・ティーヴィーはパルコとオルカビジョンの合弁会社として昨年12月に設立。主にセールスプロモーション用のブロードバンド映像などを制作・配信している。2001年1月から映像の試験配信を開始しており,同年4月から本格配信をスタート。毎日映像コンテンツを追加している。

 eコマースについては,10月からparco.tv内で動画により商品を紹介・販売している。12月からはYahoo!ショッピング内でも,テキストベースでパルコテナントの商品を紹介・販売することになった。

「関係性の革命」としてのeコマース

 同社がparco.tvで展開しているeコマースは,基本的に特定の店舗およびそこに置かれた商品を映像で紹介するところから始まる。たとえばファッション商品の映像なら,モデルを店舗まで連れて行き,店舗内で試着・撮影して3〜4分のコンテンツに仕上げる。ほかに商品の静止画が連続表示され,画像に合わせて店員によるナレーションが入るといったコンテンツも用意されている。

 松井社長は「動画による臨場感があり,また実際の店舗が存在するという安心感がある」と解説する。

 こうした動画でユーザーの購買意欲をかきたて,“動画の力によりリアルな店舗に誘導する”のがもともとのねらいだった。しかしそのままネット上で,購買までワンストップで行いたいというニーズがあり,同社はそれに応えることにした,と言う。

「ブロードバンドは関係性の革命。ユーザーはリッチメディアにより,興味あるものに積極的に関わる。商品に“関わる”姿勢の表れとして,購買という行為につながるのは当然」(松井社長)。

 現在,同社は映像の中で登場した商品を詳細な説明とともにネット上で展示している。決済方法としては,クレジットカードや代引きなどの方法が用意されている。ページ内には商品の人気投票やアンケートのボタンも配置されており,そこで得られたデータをクライアントに提供することも行っているという。


parco.tvのページ。上の段に紹介映像の各シーンが並んでいる。映像視聴後,興味を持った商品の映ったシーンをクリックすることで,詳細情報付きの商品購入画面を見ることができる

バーチャルとリアルの相乗効果

 松井社長は“バーチャル”なものであるインターネット上での販売と,実際の店舗による“リアル”な販売の関係について,次のように指摘する。

 「まず,バーチャルでユーザーに情報を提供したり,インセンティブを付与したりすることで,ユーザーをリアルの店舗に誘導することになる。ユーザーはネットで予め調べてから,店舗に商品を買いに行くことができる」

 「一方,すべてのリアルテナントを,eコマースに誘導するための『メディア』ととらえることもできる。店舗で商品を手にとってみたあと,購入はインターネットで,というユーザーもいるだろう」

 パルコティーヴィーでは,店舗の映像をブロードバンドコンテンツ化することで,リアルとバーチャルを統合したeコマースを目指す。松井氏はバーチャルの売上とリアルの売上は,食い合うものではなく“相乗効果を期待できる”ものだと主張している。

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▼ parco.tv

[杉浦正武,ITmedia]

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