Big Pipe: コンテンツアグリゲータって何だ?

ブロードバンドに関連した発表で最近よく耳にする「コンテンツアグリゲータ」。しかし,その役割自体は決して目新しいものではない。今回は,ブロードバンド市場で覇権を握ると目される「コンテンツアグリゲータ」に,焦点をあててみよう。

【国内記事】 2001年12月10日更新

 ブロードバンドが注目される中で,コンテンツアグリゲータという言葉が,“目新しいもの”として取り上げられている。しかし,コンテンツをアグリゲートさせる(aggregate=集合させる)存在は,実は以前からあった。例えば,出版業界における出版社,テレビ放送における地上波TV局,レコード会社などがそれだ。

 どの業界においても,制作そのものは外部に委託,もしくは買い上げ,著作権処理済みコンテンツを編集・加工してユーザーに提供している事業者は,コンテンツアグリゲータといえる。

 定義としては,コンテンツホルダーからコンテンツを収集・編集し,ブロードバンド・ネットワーク接続事業者と契約して配信するマーケティング事業体。機能は,プロモーション(情報流),コンテンツ販売(商流),コンテンツデリバリ(物流)の3つだ。付随する著作権管理,決済・課金代行なども行なうケースが多い。

 コンテンツアグリゲータがコンテンツホルダーとネットワーク事業者の間にあることで,コンテンツホルダーは制作事業に,ネットワーク事業者は接続事業に専念することができる。ブロードバンドアクセス回線というインフラが構築され,コンテンツ流通の新しい経路が誕生したことに伴ない,必然的に求められた機能なのだ。


 またコンテンツアグリゲータは収集だけではなく,配信を行う必要がある。そのため,コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)サービスを兼務している事業者も多い。また編集とマーケティングに特化し,配信サービスに関してはデーターセンター事業者にアウトソーシングする事業者もある。

 さらにはブロードバンド用のコンテンツ制作だけを扱うアグリゲータも登場してきている。今後,パッケージ化された映像コンテンツやナローバンドのコンテンツ,出版物などのコンテンツをブロードバンドコンテンツにするため,必要不可欠なプレイヤーとして注目される。

なぜアグリゲータを目指すのか?

 ブロードバンドのコンテンツアグリゲータになることはつまり,5年以内に1000万人メディアとなるブロードバンドのコンテンツ流通に関わることを意味する。今年一年間,ネットビジネスに関わる,あらゆる企業がコンテンツアグリゲータの機能を持とうと,さまざまなサービス/ビジネスモデルを発表しているのは周知の通りだ。

 前述のように,ブロードバンドコンテンツ配信ビジネスは,各種プレイヤーによって構成されている。が,各プレイヤーとも戦略上,ブロードバンドコンテンツ配信ビジネスの中核的な存在であるコンテンツアグリゲータ事業を“補完事業”として進出しようとしている。

 供給と配信の中間に位置するコンテンツアグリゲータは,いわばブロードバンドコンテンツの入り口と出口を持つ事業体。このコンテンツアグリゲータ事業に進出することで,ブロードバンドビジネスのコントロールポイントを掌握することができる。

 ブロードバンドコンテンツアグリゲータには大きく分けて4つの方向からのアプローチがある。

1. 放送局,映画会社などコンテンツホルダーからのアプローチ

2. ISP,アクセス回線事業者等のネットワーク事業者からのアプローチ

3. データセンター設備やコンテンツデリバリネットワークなどシステム事業者からのアプローチ

4. アクセス端末を持つアプライアンスメーカ−,ストリーミングソフトなどのメーカーを含む,ゲートウェイ側からのアプローチ

 参入の目的はそれぞれ異なる。

 コンテンツホルダーは,新規の流通経路確保による既存コンテンツの最大利用化(2次利用市場拡大)を参入目的にしている。

 通信事業者やISP,ポータルは,低価格競争で顧客を囲い込んだうえで,付加価値事業としてコンテンツビジネスで儲けるため。

 iDC,CDN事業者は,能動的にインフラ活用を促進してもらうため,自らコンテンツアグリゲータとなりコンテンツホルダーを囲いこむ。

 アプライアンス,ソフトウェア事業者は,自社製品販売による収益の後,コンテンツアグリゲータ事業で継続的収益を確保する。著作権管理システムや顧客管理システムを製品に内包することで,プロダクトの付加価値を高める。また,魅力的なコンテンツホルダーとユーザーを囲い込むことで,競争優位を確立しようとしているのだ。

コンテンツアグリゲータの分類

 コンテンツアグリゲータは,CATV向けかDSLやFTTH等の通信キャリア向け,もしくはPHSやFOMAといった移動体通信網向けなど,配信先で類型化することができる。

 ブロードバンドインターネットは当初,CATVが先行していた。したがって,CATV向けのアグリゲーター事業が2000年後半より続々として登場。2001年になるとDSLやFTTHのサービスが始まり,通信キャリア向けアグリゲーター事業が立ちあがった。

 先行していたCATV向けアグリゲータも通信キャリア向けにも対応すべく,動き始めている。通信キャリア向けの場合,ISPやNTT等の通信事業者など,既存プロバイダーが多く,新規参入の余地は少ない。一方でCATV向けは既存プロバイダーが少なく,参入の余地が多かったため,新規参入者が多いのが特徴である。

B2B型の戦略

 ビジネスモデルは,B2C型とB2B型がある。B2C型はCATV向けにしろ,通信キャリア向けにしろ自社ネットワークサービス顧客を対象にした配信サービスあり,B2B型はCATV,キャリア各社に広くコンテンツを提供する卸売り型モデルだ。

 B2B型は,コンテンツアグリゲータというドメインに注力し,水平拡大化(ホライゾン型)を図ろうとしている。B2B型には,インフラ側からのアプローチと,コンテンツホルダーからアプローチの2つのタイプがある。

 インフラ側のアプローチとは,コンテンツデリバリネットワーク(CDN)事業者という機能を強み・資源としてコンテンツアグリゲートする事業者である。制作支援,著作権管理,認証・課金に始まり,コンテンツホルダーのコンテンツのハウジングサービス,ホスティングサービス,ネットワーク事業者に代行しキャッシングサービスを行ない,サーバの負荷分散まで行ない,事業収入を得る。コンテンツ販売(商流)とコンテンツデリバリ(在庫・物流)の両面から収益を得る形態である。このようなビジネスモデルはAIIやヒットホップス,関西マルチメディアサービスなどが採用している。


 コンテンツホルダー側からのアプローチとは,委託されたコンテンツの制作から著作権処理まで行ない,ネットワーク事業者へ提供するアグリゲータもしくは権利処理された自主企画コンテンツをネットワーク事業者へ販売するアグリゲータを指す。

 自ら重たい(=コスト負担が大きい)インフラを持たず,収集力,制作力のみで勝負する事業者であり,実際にはテレビ放送局,映画会社,映像プロダクション,印刷会社,広告会社等のプロフェッショナルがこのようビジネスを展開するだろう。

 先行するB-BAT(日本テレビ系)や,東京テレビブロードバンド,TBS,フジテレビ,テレビ朝日の共同出資ブロードバンド企画会社(名称未定),短編映画を集めて配信するギャガコミュニケーションズなどがこれにあたる。

B2C型の戦略

 B2C型のビジネスモデルを採用しているのはアクセス回線事業者やISPである。彼らは競争上,通信料やプロバイダー料を低価格化しないと顧客を囲い込むことができない。主事業のネットワーク事業で採算寸前で顧客を囲い込み,補完事業のコンテンツアグリゲータ事業で儲けるというビジネスを展開しようと考えているのである。

 例えば「Yahoo! BB」は,8MbpsのADSL事業を低価格で提供する代わりに,契約者向けのコンテンツ配信事業で利益を上げる。NTT-BBもNTT地域会社の「フレッツ・ADSL」「Bフレッツ」ユーザーに限定したコンテンツ配信事業を手がける。有線ブロードネットワークスやイー・アクセス,ニフティやBIGLOBEといったISPも自らのポータルの価値を高めるべく,コンテンツアグリゲータ事業を展開している。

 このように,ISPやアクセス回線事業者はコンテンツ配信ビジネスの上流にまで進出し,垂直統合化(バーチカル型)する動きを見せている。ネットワーク事業者は,既に顧客を押さえている。したがって,コンテンツ収集機能を付加するだけで,コンテンツアグリゲータ事業が可能だ。顧客管理とコンテンツ収集の両機能を押さえることで,競争優位を確立することができるだろう。

関連リンク
▼ DSE戦略マーケティング研究所

[根本昌彦,ITmedia]

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