ブロードバンドで生活はどうなる？　ネット時代のライフスタイルにフィーチャーした展示会「Net.Liferium 2001」

ブロードバンド時代のライフスタイルを描いた，新しいタイプの展示会「Net.Liferium 2001」が開催された。目玉企画である「IPv6 ShowCase」では，IPv6が普及した時代の新しい生活様式を体験することができた。

【国内記事】

2001年12月17日更新

　12月15・16日に横浜・パシフィコ横浜で，ブロードバンド関連展示会，「Net.Liferium 2001」（ネットライフリウム，キースリーメディア・イベント主催）が開催された。

　「ブロードバンドで何が変わるのか。ライフスタイルはどうなるのか」を基本コンセプトに開催された同展示会。実行委員長を務める慶応大学環境情報学部の村井純教授によれば，今回は「創刊準備号的なスタート」のため，コンパクトにまとめられた会場ではあったが，実行委員会が目玉企画とプッシュする「インターネットが創る新生活ゾーン IPv6 ShowCase」では，係員の説明を熱心に聞き入る来場者の姿が多く見られた。

主婦とIPv6

　IPv6 ShowCaseといっても，かたい内容の展示はほとんどない。IPv6対応家電（松下電器産業と東芝はともに，冷蔵庫と電子レンジを展示していた）や，IPv6スタックを搭載したプレイステーション2（PS2）など，IPv6が何かを知らない人でも，とにかく興味が持てるように趣向を凝らしている。

　東芝ブースでIPv6対応冷蔵庫の解説をしていた担当者は，「正直いって，これほど多くの人が興味を持ってくれるとは思わなかった。特に，主婦の方が熱心に説明を求めてくる」と話す。この冷蔵庫は，前面に大型液晶ディスプレイを装備し，インターネット接続や電子メールの送受信が可能なほか，サービス会社から遠隔メンテナンスを受けられる機能を備えている。

東芝（上）と松下（下）は，ともにIPv6対応冷蔵庫・電子レンジを参考出展。主婦の取り巻きができるほど盛況だった

　中でも，主婦の目を引いたのが，冷蔵庫の監視機能だという。冷蔵室の中にカメラが入っており，冷蔵室の中身を確認することができる。携帯電話からダイレクトに冷蔵庫のIPアドレスを叩いて，中身をチェックすることも可能だ。「働いている女性にとって，こうした機能は重要のようだ」（同担当者）。

　ただ，カメラ搭載冷蔵庫は，商品化までにまだ課題も多いという。「まず，カメラを何個搭載するのか。冷蔵庫の中身を隅から隅まで覗けるようにするには，たくさんのカメラが必要になるし，カメラ自体も広い範囲をカバーできるものにしなければならない」（同担当者）。さらに，デモンストレーションでは冷蔵室の扉を閉じても，中のライトが点灯しっぱなしになっていたが，「本当はライトは消えるわけだから，暗視カメラを搭載しなければならない」（同）。

冷蔵室の中身（上）と冷蔵室内の状態（下）

　ちなみにこの担当者によれば，「誰も，IPv6が何かという質問はしてこなかった」とか。

　また，東芝ブースの隣では，キヤノンがBluetooth搭載デジタルカメラ，ならびにIPv6対応CCDカメラのデモンストレーションを行っていた。どちらも開発中の製品ということで，機器にIPv6が搭載されているわけではなく，IPv6対応のPCのクライアントとして動作していた。

　デモの内容は，Bluetooth搭載デジタルカメラの場合，撮影した画像をPCに転送して，大手町のデータセンターに転送するという操作を，シームレスに行うというもの。

キヤノンのBluetooth対応デジタルカメラ

　「将来的には，PHSを内蔵して，モバイル環境でも撮影したらそのままどこかのサーバに保存される仕組みを実現したい」（キヤノン担当者）。IPv6カメラのデモは，Webブラウザからカメラのアドレスを入力すれば，撮影中の映像が見られるというお馴染みのものだ。

　これが，東芝のIPv6冷蔵庫とどう関わってくるかというと，「冷蔵庫の液晶ディスプレイを写真入れ代わりにつかったり，１人暮らしのおじいちゃん・おばあちゃんの様子を，台所に居ながら確認できるようになる」（キヤノン担当者）。

　単なるIPv6対応機器の参考出展ではなく，IPv6の技術的なことを知らなくても，「それで一体何ができるのか」というところまで踏み込んだ展示内容だけに，来場者の関心も高かったようだ。

PS2によるP2P通信のデモ

　IPv6スタックを搭載したPS2のデモンストレーションは，展示会場に設置された2台のPS2で，P2P通信を行うという内容。

前のページ | 1/2 | 次のページ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

---