三井物産とマイクロソフト,ブロードバンドに資格制度

三井物産とマイクロソフトが新しい技術者資格制度「ネットエキスパート制度」を提唱した。ADSLなどの接続工事に必要な技術者を養成するのが目的だ。しかし,その必要性を疑問視する声もある。

【国内記事】 2002年2月5日更新

 三井物産は,ブロードバンドの普及を側面から支援するため,新しい技術者資格制度「ネットエキスパート制度」を提唱した。これは,ADSLの接続設定や小規模LANの構築といった宅内工事の専門家を養成しようというもの。三井物産は「ADSLの回線数に見られるように,“ラスト1マイル”の問題は峠を越した。現在の問題は,モジュラージャックからPCまでの“ラスト1メートル”だ」とぶち上げた。


阿多親市社長(右)と三井物産の副島利宏エレクトロニクス事業本部長(左)

 三井物産は,マイクロソフトと協力して「ネットエキスパート制度推進協議会」を2月5日付けで発足。既に有線ブロードネットワークスやアッカ・ネットワークスといったキャリア,アイ・オー・データ機器やメルコなど周辺機器メーカーを含め,37社が参加を表明している。

 挨拶に立ったマイクロソフトの阿多親市社長は,「ADSLサービスで自前の宅内工事ができるのは,全体のわずか3割。大事なのは,身近にいるエキスパートだ」と,その必要性を訴えた。

2種類の資格を用意

 ネットエキスパート資格は,業務に活かすことを前提とした「プロフェッショナル」(一種認定)と,一般ユーザー向けに基礎知識を習得してもらう「ベーシック」(2種認定)の2種類。

 プロフェッショナルの場合は,32時間(8時間×4日間)の講義と実技演習(1日)が義務付けられ,その後,検定を受ける必要がある。費用は,受講料と検定料を合わせて21万円程度。ベーシックコースも講義付きだが,こちらは一発受験も可能にする計画だ。検定料は5000円程度を予定している。

 同協議会では,3月をメドにベータプログラムを決定し,数社のパートナー企業数社と試験運用を行うという。「6〜7月には本格運用に切り替えたい。協議会は,いずれ事業会社化する方針だ」(三井物産)。

 ネットエキスパートは,慢性的なネットワーク技術者不足を解消するため,資格制度化して人材の養成を進める意図がある。しかし,技術レベルとしては低いところを指向しているだけに,発表会に出席した報道関係者からは,その必要性を疑問視する声が多く上がった。

 たしかに,「機器やソフトの設定が難しく,マニュアルが読み難いため,戸惑うユーザーが多い」のは事実だが,その製品を作っている企業が協議会のメインプレーヤーとして名を連ねるのはどうか。製品が使いにくい,と自ら公言しているようにも思える。

 阿多社長は,「次々に新しいものが登場しているが,既存のものと混在する環境もあるだろう。今後はIPv6やUPnPといった新しい技術も出てくる。プロフェッショナルの助けを必要とするシーンは必ずある」と強調していた。

関連リンク
▼ マイクロソフトのニュースリリース
▼ 三井物産

[芹澤隆徳,ITmedia]

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