ブロードバンドを扱いかねるPCベンダー

NET&COMでは大手PCベンダー4社が一同に会し,ブロードバンド時代にどう事業を展開していくべきか語った。だが会場では,意外な言葉も聞かれて……

【国内記事】 2002年2月6日更新

 ブロードバンド時代に,PCベンダーはどう対応するのか? 6日に開催されたブロードバンドソリューション関連の展示会「NET&COM」では,日本アイ・ビー・エム,富士通,NEC,日立製作所といった大手PCメーカーの面々が集まり,新時代に合った事業やソリューションの形態について討論を行った。


右から,NECソリューションズ カンパニーの金杉明信社長,日本アイ・ビー・エム常務取締役の堀田一芙氏,日立製作所常務取締役の片岡雅憲氏,富士通取締役の新道雄氏

 討論で独特のブロードバンド観を示したのは,日立製作所の片岡氏。同氏は「ネットの世界では,共有化が進むととらえている」とコメント。「IDC(インターネット・データ・センター)というのは,いわば設備の共有化。VPNというのは,ネットワークの共有化。ASPは,アプリケーションの共有化だ」。

 その上で,共有化することで特定の事業者に資源や設備が集中することで,そうした事業者に向けたアウトソーシングの動きが進むと分析した。「ネットの時代にはこれがどんどん進むと考えている」(同)。

 日本アイ・ビー・エムの堀田氏は,マーケティング畑の人間らしくブロードバンドを解釈する。

 「ブロードバンドでは顧客との多様な関係が可能になる。1対1なら満足してもらえるのか,それとも違う接し方の方がいいのか。ただ,大事なのは回線がどれだけ太いかではなくて,データベースの実際のデータをどうやって蓄積していくかだ」(同)。

 いっぽう富士通の新氏はSI出身らしく,「ブロードバンドで大切なのはスピード」との考え。「いつでもどこでも顧客の要望に対応できるようになる」ことを生かして,事業にスピード感をもたせることが大事だとの見解を示した。

ソリューション分野の金杉氏の思いは……

 討論中,ちらりとパネリストの本音が見えたのは,堀田氏がソリューション分野の人々の見方を紹介したとき。

 「正直,CRM(Customer Relation Management)とかSCM(Supply Chain Management),ERP(Enteprise Resource Planing)といっている人たちは,特にブロードバンドじゃなくても……という部分もある」と発言し,会場を笑わせてみせた。

 これをうけてNECソリューションズ カンパニーの金杉明信社長は,「いたいところをつかれた」と苦笑。

 「ブロードバンドといっても,まだそれでどう変わるのか分からない部分がある」と認めた。

 金杉氏はその後,ユビキタスネットワークが整い,3Gの携帯端末によってどこからでもブロードバンドに常時接続できると新しい生活になるのだろうと思う,と発言。手堅くコメントをまとめていた。

 金杉氏に限らず,討論会全体として,話が具体的なところまで落ちていかない印象をうけた。これはPCメーカーが,まだブロードバンドを扱いかねていることの裏返しと見ることもできる。

 昨年のブレイクに注目が集まる「ブロードバンド」。それをPCベンダーが真に使いこなすには,今少しの時間が必要なのかもしれない。

関連リンク
▼ NEC
▼ 日本アイ・ビー・エム
▼ 日立製作所
▼ 富士通

[杉浦正武,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!