Intel,ギガビットイーサをクライアントPCに。高速無線LANは802.11aを推進

IntelがIDFで発表したギガビットイーサチップの1つは,価格こそまだ高いが,クライアントPCにギガビットイーサを普及させる第一歩として評価できる。

【国内記事】 2002年2月27日更新

 米国サンフランシスコで開催中の開発者向け会議「Intel Developer Forum Spring 2002」2日目の基調講演で,Intel上席副社長のSean Maloney氏は,25日に発表したギガビットイーサネットチップの新製品を紹介。また,無線LANでは,積極的に802.11aと802.11bのデュアルバンド化に取り組むと語った。


現地2月26日,IDFの基調講演に立ったIntelのMoloney上席副社長

 Maloney氏は「ネットワーク業界は昨年,初めてマイナス成長となったが,世界中のどこにも,ネットワークトラフィックが減ったという報告はない。一方でコストダウンの要求はある」と述べ,かつて100MbpsのファーストイーサネットをIntelが普及させたのと同じように,積極的にギガビットイーサネットの普及を推し進める姿勢を示した。

 「82546EB」はサーバ向けのギガビットイーサネットチップで,1チップで2ポートのギガビットイーサネットをサポートする初めての製品となる。「82545EM」はワークステーション用のギガビットイーサネットチップ。いずれもPCI-X対応で,高速通信時にも低いプロセッサ負荷を維持できるという。基調講演中に行われたデモでは,2ポート同時に負荷をかけ2Gbpsの帯域を利用している最中にも,サーバの負荷は30%でしかなかった。「『ギガビットイーサネットはPCベースの製品には重荷』という評価は既に過去のものだ」とMaloney氏は言う。


高速なギガビットイーサネットだが,PCI-X対応でサーバの負荷も低い

 さらに一般的なクライアントPCにもギガビットイーサネットを容易かつ安価に実装させるため,Intel製PCチップセットのICH(I/Oコントローラハブ)と組み合わせて利用する10/100Mbps用イーサネットコントローラとマザーボード上で置き換えて利用できる82540EMが用意された。デスクトップPC向けとしては34.95ドルとまだかなり高価ではあるが,クライアントPC向けにギガビットイーサネットを普及させる第一歩として評価できる。


クライアントPC向けのギガビットイーサネットチップは既存の100BASE-TX対応チップと置き換えることが可能

 一方,無線LANの802.11標準に関しては「今まさに盛り上がり,期待が加熱しているところだ。しかし熱を出してのぼせてしまうのではなく,互換性やセキュリティなどの標準化に関して,よく整理しなければならない」と話す。特にセキュリティに関しては,VPNで暗号化されればいいという安易な発想ではなく,より強固かつさまざまな場面に応用できる標準を作り上げなくてはならないという。

 また使い勝手の向上も必要だ。802.11には普及が進んでいる11Mbpsの802.11bに加えて54Mbpsを実現できる802.11aも今後普及すると言われている。802.11bが2.4GHz帯を利用しているのに対して,802.11aは5.2GHz帯を利用するため,両者には互換性がない。しかしMaloney氏は両方のネットワークを行き来したり,あるいは有線のLANと無線LANの環境を行き来する場合も,シームレスに利用できる必要があると話す。

 デモンストレーションでは,それを実現するMobileIP技術を用いたローミングの実験が行われた。MobileIPは通信経路が変化しても,通信を継続的に行えるようにするプロトコル。例えば有線LANでビデオストリームを再生したり,他のネットワークサービスを利用しているときにLANケーブルを引き抜いても,無線LANで接続されればそのまま通信状態を継続できる。同様のことを802.11aと802.11bのデュアルバンド環境で行えれば,その場所で利用可能なネットワークを自動的に選んでもらえる。

 現在のところ,802.11b対応の無線LANデバイスは1チップ化が進んでいるが,デュアルバンド化するためには異なるベースバンドチップが必要となるため,1チップ化は実現していない。しかしIntelは将来的に,デュアルバンド対応の1チップ無線LANソリューションを提供するとMaloney氏は語った。

 また今後4年でネットワークトラフィックは10倍になると予想。Intelは光通信チップの高性能,高機能化,およびモジュールのサイズ縮小に継続的に取り組んでいく。その上でMaloney氏は「今後はPCを用いたシステムであっても,光ファイバーを使った通信が話題になってくるだろう」との見通しを示している。

 なお,2.4GHz帯を利用する高速無線LANの規格,802.11gは,802.11bと同じ周波数帯を利用するため互換性のある無線LANチップが作りやすいと言われてるが,Maloney氏はその普及に関して否定的だった。

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[本田雅一,ITmedia]

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