3月下旬のスタートを目前にした東電のFTTH事業,料金は「1万円以下」注目を集める東京電力のFTTHサービス。卸売りの対象となる「ISP向けの説明会を開催したところ「100人弱の出席があった」という。
横浜・パシフィコ横浜で2月27日より開催されている「IP.net JAPAN 2002」では,展示会のほか,国内の主要なサービス事業者やベンダーによるコンファレンスが行われている。2日目となる2月28日には,「ブロードバンドビジネスモデル最新動向」という統一タイトルの下,NTT東日本やイー・アクセスといった事業者による講演が行われた。 中でも注目が集まったのが,3月末よりFTTH(Fiber To The Home)事業を開始する東京電力・常務取締役の築山宗之氏によるコンファレンス「東京電力によるFTTHの事業戦略〜バックボーンからアプリケーションまで〜」だ。この中で同氏は,東京電力本体による事業参入の背景を語るとともに,目標とするサービス料金にも触れた。 東京電力は今年2月8日,総務省より第一種電気通信事業許可を取得し,3月下旬より東京都目黒区・大田区・世田谷区の一部でFTTHサービスを開始する計画だ。ただし同社が直接インターネット接続サービスを提供するわけではなく,インターネットサービスプロバイダー(ISP)に光ファイバアクセスを提供するホールセール(卸売り)形式を取る。つい先日には,卸売りの対象となる「ISP向けの説明会を開催した。反応は上々のようで,100人弱の出席があった」(築山氏)という。 東京電力本体が第一種通信事業許可を取得するまでの道のりは,平坦とは言えなかった。総務省は昨年末,同社のFTTH事業許可に関してパブリックコメントを募集。その結果,NTTグループをはじめとする複数の事業者から反対意見が寄せられた。その多くは,東京電力が電気事業において独占的な地位を占めており,光アクセス網整備における重要な資源である電柱の大半を所有していることから,公正な競争が確保できないという懸念を示したものだ。 この結果を踏まえ総務省は,事業許可を下すに当たり,「電柱利用における他の事業者との公平性の確保」「電柱貸与部門と電気通信事業部門との情報遮断」「電気事業で取得した営業基盤の排他的利用の禁止」「電力事業との会計分離」といった条件を課した。 これに対し,東京電力としても異存はないと築山氏は言う。「どの事業者も公平に電柱を利用できるよう,許可条件に沿ってさまざまな手続き,措置を取った」(同氏) また3月1日からはカンパニー制を導入し,FTTHと,従来より行ってきた光ファイバの芯線貸しを主な事業とする「光ネットワーク・カンパニー」を新たに発足させる。同氏はこれにより,電気事業とFTTH事業との間で,組織や会計を明確に区分できるとしている。 さらに築山氏は,本体による参入の背景について,「公平にホールセールを提供するという観点から,東京電力本体による事業参入を行うことにした。東電本体にはISPの性格はないからだ。FTTH事業の困難さや投資額も考えても,本体で取り組むべきと判断した」と語った。 同社は,既存の光ファイバに加え,新たに約5万キロメートルに及ぶ光ファイバネットワークを敷設し,最大100Mbpsのベストエフォート型FTTHサービスを法人,個人向けに提供する。サービスエリアも順次拡張される予定で,来年度内に東京23区および三鷹市,武蔵野市をカバーする計画だ。なおホールセールサービスを受けるISPは,インターネットデータセンターを運営する同社のグループ企業,アット東京の設備に回線をつなぎこむことになる。 さらにサービス料金については,「料金は,事業としても厳しいこともあってまだ決めていない。だが,エンドユーザーが(ISPの料金も含めて最終的に)支払う額としては1万円を切れればと考えている」と目標を述べている。 同社と吉本興業が共同で設立したFTTHコンテンツ企画会社「キャスティ」や,電力10社によるブロードバンドコンテンツ研究会「BBit-japan」を通じてブロードバンド向けコンテンツを充実させ,顧客向けオリジナルコンテンツとして提供する計画も紹介された。築山氏は事業開始を目前にし,「インフラのみならずコンテンツも含めて展開していきたい」と抱負を述べている。 関連リンク [高橋睦美,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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