“1MbpsでDVD画質”の理由は? 米On2がVP5を披露メディア・クルーズ・ソリューションが米On2 Technologies製品の国内販売に関する独占契約を交わした。On2の持つビデオ圧縮技術をADSLやCATVに向けた映像配信ソリューションとして訴求する。
日本SGIの子会社でブロードバンド関連事業のSIを手がけるメディア・クルーズ・ソリューション(MCS)は,米On2 Technologiesと国内販売の独占契約を締結した。On2の持つビデオ圧縮技術と配信サーバソフトウェアなどの関連製品を独占的に販売する。MCSは,ADSLやCATVに向けた映像配信ソリューションとして訴求する構えだ。
On2の持つ映像コーデック「VP4」は,低いビットレートで高い画質を確保できる点が最大のメリット。また,今夏にも登場するという次世代版「VP5」は,VP4よりもさらに約40%少ないデータレートで同等の画質を実現する。海外では,ライセンス問題に揺れるMPEG4の代替としても注目を集めている技術だ(2月25日の記事を参照)。 来日したOn2のCEO(最高経営責任者),Douglas McIntyre氏によると,「VP5では,500K〜1Mbpsの映像圧縮率でVHSからDVD並みの画質を得ることができる」と話す。技術的なポイントは,「VPxシリーズでは,一貫してWavelet(ウェーブレット)変換をベースに独自コーデックを開発していること」(MCSの酒井剛CTO)だ。 Wavelet変換は,JPEG-2000にも採用された波形分析技術。動画像の場合は,3次元のWavelet(静止画は2次元)を用いてデータを分析し,効率の高い圧縮を可能にする。同社の検証によると, VP4は同等画質のMPEG-2と比較して,圧縮効率は約75%良いという。
しかし一方で,Wavelet変換はCPUパワーを求める。同日行われたVP5のデモンストレーションでは,映画「The Cell」を“DVD画質”の1Mbpsで再生してみせたが,使ったPCはPentium 4/1.4GHz機だった。「Pentiumの700〜800MHzであれば再生可能」(酒井氏)というが,従来の動画コーデックに比較すると,やはり要求するスペックは上。極論すれば,帯域幅の代わりにCPUパワーを求める技術といえるだろう。 ただし,インターネット接続インフラを切り替えるよりも,PCをアップグレードするほうが容易なのも確かだ。 McIntyre氏は,「今のインターネット接続環境でネックになるのは,1Mbps以下のスピードしか出ないケースが多いこと。VPxは,ビットレートの低い環境で真価を発揮する」と強調。そのうえで,「われわれは,CPUの処理能力とバランスをとって出荷計画を作成している」とした。
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