ストリーミング対応で市場拡大を狙う「CYBER VISION」

青山プランニングアーツがマルチ動画プレーヤー「CYBER VISION」の新バージョンを発表した。ストリーミング対応や開発環境の提供を通じ,eラーニング,電子政府などのツールとして訴求する。

【国内記事】 2002年3月28日更新

 青山プランニングアーツ(APA)は,マルチ動画プレーヤー「CYBER VISION」の新バージョンを発表した。CYBER VISIONは,2つの動画を同時に表示できるブラウザ。伊藤忠テクノサイエンス(CTC)や富士通機電などの販売パートナー4社とともに,企業内の情報ツールや電子政府の情報端末といった用途に向けて販売するという。


2つの画面はワンクリックで入れ替えることもできるほか,全画面表示も可能

 CYBER VISIONの基本構成は,中央にメイン画面,右側のサブ画面を配置したものだ。ユーザーは,左側のボタンでチャンネルを指定したあと,ビデオデッキを模した下部の操作ボタンで動画の再生や停止を行う。操作はすべてシングルクリック。難しい操作を排除し,より直感的に扱える「コンピューター的でないデザインを目指した」(APAの尾中昭文社長)という。

 既にCYBER VISIONを導入した日本図書館協会では,2つの画面を活かして書籍を紹介するコンテンツを制作している。メイン画面で著名人がお気に入りの本を朗読し,サブ画面ではそれを手話で紹介する形だ。「2画面は単にファッションとして備えたものではない。ホスピタリティを高める使い方ができる」(同氏)。

ストリーミングとマルチプラットフォーム

 しかし,従来のCYBER VISIONは,動画コンテンツとブラウザをCD-ROMに入れて配布する形だったため,単なるマルチメディアプレゼンテーションツールの域を出ていなかった。これに対して,新バージョンでは,QuickTime動画のストリーミング再生をサポートし,ネットワークとの親和性を高めた。Windows Media TechnologiesやReal System,MPEG-4への対応も進めているという。

 また今回は,ブラウザの動作環境としてWindows 98以降とMac OS Xをサポートした。もともと,CYBER VISIONのブラウザはJavaアプリケーションであり,コンテンツもXMLで記述するというマルチプラットフォーム前提の構成だが,動画を扱うためのAPIであるJMF(Java Media Framework)がOSに依存するため,従来はWindows版のみが提供されていた。

 さらに,ブラウザを模した画面の各部(画面やボタン)に動画などの素材を割り当てるだけでコンテンツを作成できるオブジェクト指向の開発ツール「CYBER VISION POWER BUILDER」をリリース。これにより,PCの扱いに慣れない人でもコンテンツを制作できる環境を整えた。

 CYBER VISIONの販売を担当するサイバービジョンの吉川直志社長は「企業内のeラーニングツールや地方自治体向けの情報公開端末などとして訴求したい。また,ホットスポットに設置する情報端末のインタフェースとして,すでにいくつかの企業と交渉を進めている」と話す。


カスタマイズしたCYBER VISIONをタッチパネル端末に搭載した例

 パートナーとして名乗りを上げた富士通機電は,タッチパネルを搭載したWebパッド型のPCを「市民情報サービス端末」として販売する計画だが,そのユーザーインタフェースとしてCYBER VISIONが採用されている。

 富士通機電の松岡武三専務は,「電子政府向けの端末は,非PCユーザーでも扱えなければならない。また,コンテンツを制作するのもPCに習熟した人間とは限らない。CYBER VISIONとタッチパネル端末の組み合わせがデジタルデバイドの解消につながるだろう」と話している。

関連リンク
▼ 青山プランニングアーツ
▼ 富士通機電

[芹澤隆徳,ITmedia]

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