鷹山,無線LANを使い通信オペレータに参入鷹山は4月2日,PHS,無線LAN,ADSLを組み合わせた総合モバイルインターネットサービスを発表した。屋内では8Mbps,街角では2Mbps,移動中は32Kbpsの速度でインターネットにアクセスでき,IP電話サービスも想定している。
鷹山は4月2日,2002年秋に総合モバイルインターネットサービスを開始すると発表した。これは,ページャー(いわゆるポケベル)やPHS,無線LAN,ADSLなどの各種ネットワークを組み合わせて提供するサービス。 データ通信だけでなく,IP電話を使った音声サービスも提供。「かけ放題のIP電話となる,普通の携帯も出していく」(鷹山の高取直社長) 高取氏は,「携帯,インターネット,IP電話がモバイルで使えるようになる」と説明する。通信の主役はIEEE802.11bを使った無線LAN。それをPHSが補完するという位置づけだ。 また,大きな役割を果たすのが,ページャーのネットワーク。同社のIP電話に電話をかけるときには,ページャーの「020」の番号が利用され,呼び出しにもポケットベルの280MHzの電波が使われる。 電話の呼び出しとメールの送信にはページャーのネットワーク。電話がつながったあとは,無線LANやPHSなどその場に応じたネットワークを使って音声をやりとりする。利用するネットワークは「ユーザーが意識することはない」(高取氏)という。 データ通信に関しても,移動中はPHSインフラを使った32Kbps,街角では無線LANを使い2Mbps,屋内ではADSLを利用して8Mbpsと柔軟に活用できる。
無線LANサービスは2002年秋から鷹山では「BitStand」と呼ぶ無線LANのアクセスポイントを首都圏を中心に設置し,2002年秋から2Mbpsのデータ通信を可能にする。BitStandは買収した東京電話アステルのPHS基地局に併設することで,「80メートル間隔で設置。ほぼ一面が2Mbpsエリアになる」(高取氏)。 現在PHSの基地局にはISDN回線が接続されているが,各BitStandには光ファイバーが接続される。 また2003年秋には,地方都市部へBitStandを拡大するほか,ページャー機能なども組み合わせたサービスを提供する。
半導体デバイス企業から通信オペレータへ鷹山はもともと第3世代携帯電話向けのキーデバイスの開発で名を知られた企業。それが,一転して通信オペレータへの道を歩み始める。 「我々は,キーデバイスが目的ではなく次世代の携帯電話をやりたかった。今後は“キーデバイスも持っているオペレータ”として,次世代携帯電話を目指していく」(高取氏) 日本テレコムからポケットベル事業(元,東京テレメッセージ)を買収し,フュージョン・コミュニケーションズやアッカ・ネットワークスにも出資。デバイスメーカーから通信オペレータへと着々と布石を打ち,TTNetからPHS事業(東京電話アステル)を買収したことで形が整ったわけだ。 「(FOMAなどの)第3世代携帯電話は,多額のコストに対して売り上げはほとんどない」と高取氏は漏らす。夢見た次世代携帯電話と現実に作られていくものとの違いが,鷹山を電話会社へ走らせた。
料金,端末など未定の部分も鷹山は,ページャー,PHSとサービス競争力を失ったネットワークを安価に購入することで,事業を低コストで展開。サービス料金などは明らかにされなかったが,「PHS以外のところは定額料金」(高取氏)としている。 組み合わせの妙が,古いインフラを最新のインターネット設備に生まれ変えたわけだが,もちろん課題もないわけではない。 例えば全国展開に当たっては,現在首都圏に限られるページャーとPHSのインフラを全国でも利用できるよう調整する必要がある。鷹山が保有するページャー「マジックメール」のインフラがカバーするのは,東京・千葉・埼玉・神奈川。PHSインフラも関東甲信越に限られる。 端末も「全世界から調達する」(高取氏)と語り,「IPがからむと日本の最先端のメーカーでも1年くらい遅れている」と,韓国や台湾などアジア各国からの調達を示唆したに留まる。 BitStandの設置には,現在PHS用に敷設してあるISDN網に加え,光ファイバーの敷設が必要だが,単独で行うのかどこかと組むのか,どのくらいのコストがかかるのかには言及されなかった。
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