リーガロイヤルホテル,フロア全体を無線LAN対応

ホテルのネット接続サービスは,日々進化しつつある。リーガロイヤルホテル大阪は,23,24階のフロア全体を無線LANに対応させた。

【国内記事】 2002年4月3日更新

 インターネット接続サービスを提供するホテルが増えている。多くのホテルが,室内にLANインタフェースなどを用意してネット接続を可能にしているほか,センチュリーハイアット東京など一部のホテルでは,MISの無線インターネットサービス「genuine」を利用できる。しかし,より広範にサービスを提供するホテルが登場した。

 リーガロイヤルホテル大阪は4月下旬より,23階と24階の2フロアにアクセスポイント(AP)を設置し,全室無線LAN対応にすると発表した。無線LAN環境を持つユーザーはそのままネットに接続できるほか,無線LANカード・ドライバおよびPCを無料で借りることができる。


ロイヤルホテル情報システム部部長の中村吉弘氏。「ロビー,ラウンジ,宴会場へのサービス拡大も検討している」

 ホテルには100MbpsのBフレッツ・1回線が引き込まれており,これをHomePNAにより1Mbpsで,各階の廊下天井部に設置された4つのAPまで中継する。なお,フロア内には63室あり,そのユーザーで4アクセスポイントを共有する。

 APはシスコのAironet 350を採用しており,802.11bに対応。現在はHomePNAがボトルネックになっているかたちだが,将来的にはVDSLを導入する計画もあるという。  「ホットスポット的なサービスでなく,フロア全体を無線LAN対応にしたケースは,かなり珍しいのではないか」(中村氏)。同社の系列にある18ホテルのうち,有線ネットワーク接続サービスを提供していたのは大阪,東京,広島の3ホテルだけ。今回,大阪で初めて無線接続サービスが追加されることになる。

セキュリティ対策も

 今回のネットワーク構築にあたり,機器を提供したシスコシステムズの先進ソリューション開発部,アソシエイト・システムズエンジニアの山崎敦志氏は,セキュリティ面に気を配ったと説明する。

 「無線ネットワーク上では,互いの端末の中身が見えてしまう恐れもある。しかし,シスコの開発したPSPF(Public Secure Packet Fowarding)機能により,AP側で無線LANクライアントにWeb閲覧以外の権限を与えないよう設定した」(同)。

 PSPF機能は,ファームウェアアップデートによりAPに追加が可能。クライアント側の設定は必要なく,AP側でPSPFを「オン」にするだけで,アクセスする端末同士のファイル共有を不可能にできるという。

高まる無線LANのニーズ

 中村氏は,ホテル内でネットワーク接続サービスのニーズが高まっていると話す。

 「替えの枕はないかとか,加湿器はないかといった客の問い合わせに混じって,ネットに接続したいという要求が目立つようになってきた」(同)。ビジネスユーザーが多くPCを利用するようになったことに加え,大阪にUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)ができた結果,海外からの宿泊客が増えたことも影響しているようだ。

 ネットワークを無線化することは,実はホテル運営側にもメリットになる。管理側のネットワークから離れた場所に端末を設置できるため,“仮設カウンター”が実現するという。

 「多人数の団体が同時に受付を行う場合など,1階カウンターから少し離れた場所に端末を用意して,仮設カウンターを設ければいい。今後,実用化を検討していく」(同)。

 シスコのアライアンス推進本部,プログラムマネージャの斎藤真紀子氏も「無線LAN対応は,ホテルの利益に結びつく」と話す。

 「米Cisco Cystemsでは,ホテルで無線接続サービスを提供した場合,連泊する客が増えたり,リピーターが増えたりと,確実に効果が上がっている」。

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▼ リーガロイヤルホテル大阪

[杉浦正武,ITmedia]

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