ニュース 2002年5月13日 04:51 PM 更新

日本IBMと三鷹市、ブロードバンドで「開かれた学校」

日本IBMが、三鷹市のIT化を支援する。同市立の全小学校15校において「三鷹市・学校・地域連携教育プロジェクト」を展開。ブロードバンドによる地域イントラネットを構築し、保護者や地域支援者などが授業や学校行事を視聴・参加できるようにする

 日本アイ・ビー・エム(IBM)と三鷹市は5月13日、同市立の全小学校15校において「三鷹市・学校・地域連携教育プロジェクト」を展開すると発表した。CATVインターネットやADSLといったブロードバンドネットワークを活用し、学校と家庭を結ぶイントラネットを構築。学校行事や授業の風景などを動画で配信するほか、保護者・地域支援者(メンター)と学校がコミュニケーションできる掲示板を設置するなど、「開かれた学校」「地域に根付いた教育」を目指す。

 プロジェクトの期間は今年4月から2年間。日本IBMが社会貢献プログラムの一環として行うもので、教師のITトレーニング実施や、遠隔学習用ソフト「ロータス ラーニングベース」の提供など75万ドル相当の支援を行う。全世界で教育支援プログラムを実施しているIBMだが、北城恪太郎会長によれば「ブロードバンドを利用したものは今回が初めて」という。

 プロジェクトの舞台となる三鷹市は、1980年代に「情報都市モデル地域」に選定され、1997年には教育センターと市立の全小・中学校をイントラネットで接続し、各学校のホームページを作成するなどの取り組みを行ってきた。ITの導入には積極的で、今回のプロジェクトには高学年児童・保護者・メンターなど合計3000人程度が参加する見通しだ。


「「三鷹市・学校・地域社会イントラネット」の構成図。三鷹CATVのIP-VPNと学校間イントラネットを接続する。全ての学校が共同で利用する「三鷹地域ネットワークセンター」には、ビデオ配信サーバ、「ロータス ラーニングスペースサーバ」、「ロータス Sametimeサーバ」が格納される。日本IBMが特に気を使ったのがセキュリティの部分。利用者によって、詳細なアクセス管理をできるようになっているという

 同プロジェクトの特徴は、地域支援者(メンター)を積極的に取り込んでいこうとしている点。三鷹市内に住む会社経営者や芸術家、スポーツ選手と生徒がインターネットを通じて交流できるようにすることで、「学校の先生だけでは教えられない、世の中のさまざまな出来事を伝えることができる」(北城会長)。

 日本IBMと三鷹市では、昨年より今回のプロジェクトのパイロット版を市立小学校4校で実施し、100人以上のメンタ―が参加した。三鷹市立第四小学校では昨年10月、行われたピーナッツ栽培を子どもの自らの学習課題とした「総合的な学習」を行った際、農業栽培に詳しいメンターからビデオメールなどでアドバイスを受けながら資料をまとめ、イントラネットにレポートを公開したという。同プロジェクトを推進する日本IBM 社会貢献の古川信幸課長は、パイロット版の成果として、「生徒が道ばたでメンターに挨拶していたりするなど、学校を核とした新しい地域コミュニティができつつある」とことを挙げる。


三鷹市・学校・地域連携教育プロジェクトでは、授業風景や学校行事(卒業式や始業式)などを動画で配信している。保護者やメンターからフィードバックを受け、授業内容の向上に活かすという。保護者からは、「これまで見られなかったので、非常に嬉しい」と好評だという。このほか、学校地域の人々による討論会や生徒(ならびにその保護者)と担任教師のための個別相談室なども設置される

 「教育の世界では選択的な学習の幅が広がり、学校や教師が時代の流れに遅れず、外の現実の世界の動きを的確にとらえて教育していくのは容易なことではない。だからこそ、保護者や地域が教育に参加し、役割を担うことが重要になっている。ネットワークの発達によって、それが可能になった」(三鷹市の安田養次郎市長)。


プロジェクト合意書を交換し、笑顔で握手する安田養次郎 三鷹市長(左)と日本IBMの北城恪太郎会長

[中村琢磨, ITmedia]

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