ニュース 2002年5月15日 11:52 PM 更新

アルプス電気、電力線通信モデムをデモ展示

「ALPS SHOW 2002」で、来年から量産される電力線通信モデム「ITM1EVK」が展示されていた。最大2.5Mbpsで、価格は1万円前後になる予定

 5月15日に開催したアルプス電気のプライベートショウ「ALPS SHOW 2002」では、同社が参入を表明した(4月26日の記事参照)電力線通信モデムが展示されている。これは、同社がイスラエルITRANなどと合弁で設立した「プレミネット」から販売されるもの。PC―モデム間をイーサネットで接続し、モデムをコンセントにつなげば、工事なしでホームネットワークを構築できる点がメリットだ。


デモ展示の風景。家庭内のコンセントに電力線モデムをつなぐことで、各種デバイスをネットワークに接続できる様子をイメージしている(実際にはデータのみがケーブルを流れている)

 電力線通信(Power Line Communication:PLC)は、100ボルトの電力線にIPの通信を重畳する技術。アルプス電気では通信方式にノイズに強いとされるDS-SS(直接拡散型スペクトラム拡散)方式を採用しており、理論的には最大24Mbpsの通信速度を実現できるという。

 実際に展示されていたモデムは2種類あり、それぞれ最大2.5Mbps(実効スループットは2Mbps程度)の通信速度を実現する中速モデム「ITM1EVK」と、7.5Kbpsの通信速度を実現する低速モデム「IT800」。ITM1EVKのほうは既に海外で評価版が出荷されており、国内でも来年から、1万円前後で量産する予定だ。

 「IT800のほうは、発売までもう少し時間がかかる。というのは、ITM1EVKは“通信機器”と位置付けられるが、IT800は“家電製品”として販売するため。家電となると買い換え寿命も長くなるし、ネット家電メーカーとの協調も必要だろう」。


左がITM1EVK、右がIT800。IT800は遠隔操作によるビデオ録画などへの利用を想定しているという

ラストワンマイルはFTTHの可能性も?

 電力線通信は特にブロッキングフィルタをかけない限り、管理が難しく、事業者から家庭までをつなぐ回線としては、あまり向かない部分もある。アルプス電気ではラストワンマイルにFTTHを使い、宅内LANを電力線通信で構築するという形も構想しているようだ。

 「家庭まではFTTHなりADSLなりでやってきて、そこから先を電力線通信や無線で構築すればいい。電力線ケーブルはグラスファイバーよりも容易に曲げることができるし、ほこりなどにもそれほどデリケートでない」(アルプス電気)。

 もっとも同社は、きんでんとともに事業者からのラストワンマイルに電力線通信を利用するサービスの可能性も検討している。「今後の電波法改正も見越し、電力線通信の利用法を幅広く検討していく」(アルプス電気)。

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[杉浦正武, ITmedia]

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