ニュース 2002年7月8日 02:42 AM 更新

サッカーにもe-ラーニング

もはや、ITの導入を検討しているのは企業だけではない。J2の大宮アルディージャがITを活用してクラブの強化を推進。少年サッカーにはe-ラーニングを導入だ

 「企業経営の効率化のためにITを導入する」「ITによって業界内での競争力をつける」とは、エンタープライズ関連のニュースでよく目にするフレーズであるが、サッカークラブも「ITで強化」する時代が訪れたようだ。

 Jリーグ2部の大宮アルディージャと、スポンサー企業であるNTT(持ち株会社)は、ITを活用した共同実験を行うと発表した。ファンサービス向上、ならびに子どもたちの技術アップに使えるような「映像分析手法」の確立を目指すという(7月4日の記事参照)。

 実験では、大宮アルディージャならびに同ユースチームの試合映像データにメタデータを付加し、「コーナーキック」や「フリーキック」といったキーワードで簡単に検索できるようにする。メタデータを加えるには、NTT研究所が開発した映像編集ソフト「エディティングツール」を使用。操作は「付箋を貼るように簡単」(NTT)で、編集作業は専門の技術者ではなく、コーチや技術スタッフが行うことになる。映像編集の目的が、「チーム戦術の浸透」だとしたら、単にシュートやコーナキックの場面を収集するよりも、はるかに高度な知識が要求されるため、チーム関係者が自ら制作できるのは大きなメリットになる。

 以上が実験の第1フェーズ。映像編集技術時代の実効性について検証する。これまでビデオを編集するのにかかっていた作業時間を「半減」(NTT)させるのが目標である。第2フェーズでは、実際にサービスとして運用する。メタデータが追加された映像をファン向けにネット配信するほか、大宮アルディージャのサッカースクールに所属する小中学生を対象に「Webサッカースクール」を提供する予定だ。

 ネット配信する映像に、選手名情報を入れておけば、お気に入りの選手のプレーだけを楽しむことができる。これまでなら、ビデオに録画したマラドーナやプラティニのプレーを苦労して自分で編集していたものだが、この技術では、ネット上でお目当てのプレーヤーの“美技”に簡単にアクセスできるのだから、サッカー少年にはたまらない(もっとも、当初は大宮アルディージャの選手だけなので、現役選手にはぜひとも頑張っていただかなくてはならない)。また、「シミュレーション」や「誤審」といったデータを持たせておけば、クラブだけでなく、審判講習用に使えるかもしれない。

 一方、Webサッカースクールは、自らのプレーだけを集めて(パス、ドリブル、フェイント)、オンラインでコーチの指導を受けられるようにするというものだ。自分のプレーと、プロ選手のプレーを映像で比較できれば、子どもにとっても刺激になるだろう。そこまでやれば、もはや企業研修顔負けのe-ラーニングである。

 そういえば、日本代表監督就任が濃厚なジーコは、日本サッカーについて「日本は環境が良すぎて、ハングリー精神に欠ける」と指摘していたが、少年サッカーにe-ラーニングを導入していると知ったら、いったい、どんな顔をするのだろうか……。

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▼ ニュースリリース

[中村琢磨, ITmedia]

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