ニュース 2002年9月27日 02:30 AM 更新

お手軽インターネットラジオ「BiBio」で遊ぶ

ネットワークならではの“お楽しみ”を探す新連載。1回目は、サン電子の「BiBio」を取りあげ、インターネットラジオの世界を紹介しよう。日本でインターネットラジオというと、“いまひとつ”という印象を持っている人も多いだろうが、世界中を見渡すと、そこには驚くほど良質の、そして幅広いコンテンツが存在している

 ブロードバンドとホームネットワーク。家中、そして世界中のどこにでも高速に繋がる環境が当たり前のように手に入るようになってきた。筆者と編集担当者が、はじめて一緒に仕事をしてから7年ほどになるが、よもや自宅が上り/下り15Mbpsでネットワークに繋がり、有線/無線入り交じった家庭内ネットワークがすべての部屋で使えるようになり、さらにはそれを種に連載を依頼されるとは想像もしなかった。

 さて、この連載。各部屋をLANケーブルで結び、VDSLでインターネットに接続された僕の自宅で、ネットワークを使っていろいろな“楽しみ”を見つけていこうという趣旨で始めることにしたい。

 初回からの数回は、家庭内ネットワークとブロードバンドでAVコンテンツを楽しむためのアレコレについて触れることにする。まずはサン電子から発売されたインターネットラジオ「BiBio」(7月の記事を参照)のレビューをお伝えしよう。次回以降は新「VAIO」シリーズの家庭内ネットワーク向けAV機能、海外製のネットワークオーディオデバイスなどを取りあげる。


サン電子の「BiBio」は、PCを介さずにインターネットラジオを楽しむことができる。価格はオープン

馬鹿にできないインターネットラジオの実力

 日本でインターネットラジオというと、いくつかの局があるものの、音質やコンテンツの面で今ひとつという印象を持っている人もいるだろう。しかし、世界中を見渡すと、そこには驚くほど良質の、そして幅広いコンテンツが存在している。中には128KbpsのMP3で配信しているところも少なくなく、BGMとして利用するには十分な音質を備えている。またごく一部だが、256Kbpsあるいは320Kbpsでの放送を行っているところもあるほど。

 僕自身もBiBioとは異なるインターネットラジオにアクセス可能なネットアプライアンスをリビングのオーディオ機器に接続しているが、本格的なオーディオシステムを通しても満足できる程度の品質を持つラジオ局も結構多い。既にインターネットラジオを愛用している読者はご存じだろうが、インターネットラジオはなかなか馬鹿にできない実力を備えているのである。

 そんなインターネットラジオ局専用のデバイスが、サン電子が発売したBiBioだ。見た目はコンパクトなMDラジカセ風(カセットが廃れた時代にラジカセと表現するのも古すぎるかも知れないが……)。しかし、その中身はメモリカードからの音楽再生を除くとインターネットラジオ放送だけに機能を絞った、実に潔い製品になっている。

 まずはBiBioの主な機能を簡単にまとめておこう。

  • Shoutcast、Icecast方式のMP3ストリーム放送とWindows Media Serverを用いたHTTPベースの放送の受信、再生
  • HTTPアクセス可能な場所にあるMP3、WMAファイルの再生
  • メモリースティック内のMP3、WMAファイルの再生
  • POP3メールの未読件数通知
  • メモリスティックのUSBリーダー/ライター

 本体にはUSBコネクタがあるため、USBオーディオデバイスとしても使えそうだが、USBでPCに接続してもメモリースティックスロットへのアクセスしか行えないので注意して欲しい。また、マニュアルでも触れられているがUSBリーダー/ライター機能は速度が非常に遅く、128Mバイトデータを書き込むと50分程度の時間がかかるため、あくまでも補助的な機能と捕らえた方が良さそうだ。


メモリースティックスロットは本体上部にある。MagicGateは非対応

 なお、メモリースティックのMagicGate機能は利用しておらずATRAC3にも対応していないため、MGメモリースティック内の著作権保護された音楽データを再生できるわけではない(ふつうにファイルとして書き込んだMP3、WMAを再生できるのでこちらの方が便利)。

 また本体前面から見るとヘッドフォン端子が装備されていないように見えるが、背面に端子が装着されており、ヘッドフォンを出力すると本体のスピーカー出力がミュートされる。メーカーによると、基盤配置や全体の配線の関係上、前面にヘッドフォンを配置できなかったとのこと。

 出力インピーダンスはヘッドフォンに最適化されているため、他オーディオ機器のライン入力に接続した場合には、ノイズや歪みが出る可能性もある。ライン出力端子は製品の性格上、装備を見送ったという。


背面の端子群。ヘッドフォン端子もここ

専用サイトからBiBioにラジオ局情報を発信

 インターネットラジオ局は非常に数が多く、また新しい局が現れては、別の局が消えるといったサイクルを非常に速いテンポで繰り返している。このため、BiBioではインターネットラジオ局を単純なプリセットでアクセスするのではなく、専用のWebサイトからメニュー化されたコンテンツ情報をダウンロードする方式を採用している。

 点在するインターネットラジオ局をとりまとめるサイト(キー局のようなもの)として知られる「Live365.com」と提携し、Live365.comでメニュー化されている局をBiBio専用サーバで中継。BiBioにダウンロードしている。このほか、アメリカオンライン系列で「WinAMP」の開発元であるnullsoftが開発した「Shoutcast」のコンテンツも、Live365.comとは別にメニュー化。さらに日本の放送局も加えることで、総計で400を超えるインターネットラジオ局へのアクセスが行えるようになっている。音楽好きならかなり楽しめるはずだ。


再生中の画面表示。曲名、局名、ジャンルに加えて局からのインフォメーションが流れる。最上段はステータス表示領域で、左からバッファ状況、POP3メール未読数、メモリスティック挿入の有無、ビットレート、イコライザ設定、ミュート状況が表示されている


日本のラジオ局もあるが、残念ながらビットレートの低いものが多い

 日本のインターネットラジオ局も、音楽を楽しめるサイトが少ないのは残念だが(低ビットレートの音質が低い放送が主流)、昔話の語りを流し続ける「ラジオ昔話」など、特徴のある放送もあって、なかなか楽しい。

 良質のインターネットラジオ局を見つけたら、それを自分でBiBioに登録することもできる。お気に入りの局を再生させながら、5つあるプリセットボタンのいずれかを3秒以上押し続けるとURLが登録され、次回からはボタンひとつでお気に入りインターネットラジオ局にチューンできる。

 サン電子のBiBio設定サイトにアクセスし、各BiBioに割り振られている固有のIDとネット経由でBiBioに割り当てられるパスワードを入力すると、自分で探したラジオ局を登録する「マイチャンネル」機能にアクセスできる。

 マイチャンネルでは、Windows Media Serverによるストリーム放送、IcecastもしくはShoutcastによるMP3ストリーム放送、HTTPアクセス可能なWMA/MP3ファイルを登録できる。ただし、Windows MediaはURLが「mms://」で始まるアドレスの放送は受信できない(HTTPを通じた放送のみをサポート)。またサン電子によると、Windows Mediaで放送されている場合でもWMAが使われていない局もあるそうで、その場合も再生できない。


Webサイトを通してマイチャンネルに放送局を登録することも可能。ただしリダイレクト用ファイルへのURLでは再生できないので、よく調べなければならない


登録した放送局の一覧。登録可能な局、ファイルは最大40件


登録後にマイチャンネルにアクセスすると、BiBioのメニューに登録したカスタム放送局が表示される

 いずれの場合も、放送が行われているそのものズバリのURLが分からないと再生できないため、インターネットラジオについてある程度の知識は必要となる。インターネットラジオ局の中には、JavaScript経由でURLへとリダイレクトしている場合も多く、その場合はソースコードなどを追わないとURLを見つけることができないからだ。

 また、Shoutcastで放送されているインターネットラジオ局の場合も、一度plsファイル(プレイリストファイル)をダウンロードさせ、plsの中に放送用URLがかかれていることがある。この場合、plsファイルへのURLを登録してもBiBioでは再生できないので注意しよう。plsをダウンロードしてその内容を確認するか、あるいはWinAMPでplsを再生させ、再生中コンテンツのプロパティを表示させるなどすれば、本当のURLを見つけることができる(いずれにしろ、このあたりはトライ&エラーで学習するのが手っ取り早い)。

 さらにこのサイトには、有用なインターネットラジオ局を投稿する機能がある。自分で見つけたURLを投稿することも可能で、BiBioから[マイメニュー]-[掲示板]とアクセスすると、他の人が登録したインターネットラジオ局へと簡単にアクセスできる。現在のところ、投稿は少ないが、将来、ユーザーが増えてくれば放送用URLを調べる知識がない人でも、プリセット以外の局を利用できるだろう。


掲示板投稿機能で有用な放送局のURLをBiBioサイトに投稿


投稿された放送局は全BiBioからアクセス可能。オススメの放送局情報をユーザー同士で交換できるわけだ

こんな人にお勧めしたい

 インターネットラジオは、洋楽好きなら絶対に楽しめるコンテンツだ。いつもパソコンの前に座っている人なら、パソコンでさまざまなインターネットラジオ局へとチューニングしてみよう。数百Kbpsの帯域があれば、滞りなく再生できるので、ほとんどのADSL/CATVユーザーが楽しめる。まずはインターネットラジオ局の楽しさを体感するところから始めるといい。

 「Shoutcast」や「Radio Free Virgin」「RadioStorm」などにアクセスして、まずはその楽しさを知ってほしい。「Windows Media Player」や「RealPlayer」に登録されているラジオ局とはひと味違う、高品質の放送を楽しめるはずだ。

 その上で、パソコンとは切り離し、インターネットラジオをいつでも楽しみたいと思ったなら、BiBioが問題解決の模範解答になるだろう。海外ではフィリップスのインターネット対応CDラジカセを始め、インターネットラジオにアクセスできるネットアプライアンスはいくつか存在するが、日本ではBiBioしかない。世界中の放送局にアクセスできるだけに、飽きにくいのもインターネットラジオの長所だ。

 個人的に残念なのは、BiBioの音質。フルレンジスピーカーからの音は安物ラジカセの域を出ない。手軽さの代償とも言える部分なので、あまり深くつっこみたくはないが、せっかく高品質な放送を行っているところもあるのだから、それなりの音質で楽しみたい人向けにラインアウト端子は欲しいところだ(ヘッドフォン出力をアンプに繋いでみたところ、特に大きな歪みはなかったが、ややノイズレベルは高い)。

 そうした音に対するこだわりがないなら、購入を検討してみてはいかがだろう。我が家の場合、別にインターネットラジオを持っているため購入検討の候補には上らないが、それを持っていなければ、きっと魅力的に感じたに違いない。

 PCカード経由で無線LANを増設できるモデルや、ローカルネットワークでアクセス可能なMP3ファイルを検索して再生する機能を持つ製品、スピーカーレスのモジュラータイプなどのバリエーション展開も期待したい。

 BiBioに限らず、ノンPCでネットワークコンテンツを楽しめるアプライアンスには、今後とも注目していきたい。家庭内のデバイスがネットワークで結ばれるなんて、今はまだ「そうなればいい」程度にしか思わないかも知れない。しかし、想像もしなかった環境が、想像するより速く到来するのが、この業界の常なのだ。

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[本田雅一, ITmedia]

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