光ファイバーとオートクチュールの微妙な関係すれ違ったら振り返ること請け合い。光ファイバーを織り込み、画像や動画を表示できるイブニングドレスが登場した
光ファイバーといえば、高速大容量通信に使われるもの。そんな既成概念は過去のものになりつつある。フランステレコムは、光ファイバーを生地に織り込み、画像や動画を表示できる「The Optical Fiber Screen」の新作を発表した。
今回のメインは、オリビエ・ラピドスのデザインによるイブニングドレスだ。デモンストレーション用のプロトタイプとはいえ、ドレスの背面に張り付いた光ファイバーの束は注目度抜群。さらに、それが光るとなれば、すれ違った男性が振り返ること請け合いだ。
The Optical Fiber Screenは、繊維に光ファイバーを織り込んだ、8×8ピクセルのソフトディスプレイ。1ピクセルは35ミリ四方の正方形で、この中に0.25ミリ径の光ファイバーが12本ずつ、格子状に織り込まれている。計算上は64画素ということになるが、光ファイバーの残光時間を微妙に変えることで、発光部が尾を引くといった微妙な表現が可能だ。 光源は、表示部の外縁に仕込まれた単色の発光ダイオード。本来なら直進するはずの光が外側に漏れるのは、ファイバーの露出部分に施された特殊な研磨加工による。この光がファイバーを伝わることで表示部が発光する仕組みだ。 表示する画像や動画は、ドレスの裏地に隠されたメモリに保持しておき、やはり生地に縫いこまれたリモコンで操作する。メモリには、Bluetoothや携帯電話などの手段で画像を(メモリに)ダウンロードすることができる。
操作部
現在のところ、The Optical Fiber Screenの光源には青や白の単色LEDが用いられている。しかし同社R&DスタジオのLaurent Ponthouチーフマネジャーによると、来年公表予定の「次世代プロトタイプ」では、RGB(レッド、グリーン、ブルー)のLEDを使い、6万4000色表示を可能にするという。 「光ファイバーはさらに細いものを使い、折り畳むこともできるようにする予定だ。ただし、電力消費が大きくなるため、解像度を上げる予定はない。バッテリーは重さとなって着る人に跳ね返るからだ」(同氏)。なお、今回のイブニングドレスの場合、バッテリー寿命は約2時間だという。 フランステレコムは、今回のプロトタイプ公開を機にパートナー企業を募り、2〜3年のうちに実用化したい考えだ。似たようなLED表示装置は、道路工事現場で誘導係が着用しているのを時折見かけるが、光ファイバーの柔軟性を活かして、より幅広い用途に適応させようとしている。 「The Optical Fiber Screenの特徴は、普通の布と変わりない柔軟性と軽さ。セキュリティサービスやファッション、広告などさまざまな用途を想定している。例えば、スポーツ選手がチームごとにメッセージを表示するなど多彩なモバイル・コミュニケーションが可能になるだろう」。 実際、The Optical Fiber Screenは、モデルの女性が「違和感も重さも感じない」と話すほど柔らかい。わざわざ体にフィットするイブニングドレスを、しかもオートクチュールで仕立てるあたりに、同社の自信とユーモアがうかがえるようだ。
ドレスを手がけたオリビエ・ラピドスは、若者向けの紳士服などで国内にも愛用者が多いテッド・ラピドスの息子。父親が開設したパリのオートクチュールメゾンを1989年に継承した 気になるお値段は、「オートクチュールなので価格を出すことはできない。たとえ数量限定で量産した場合でも、数千ユーロは下らないだろう」(Ponthou氏)。男性が必ず振り返るドレスは、さすがにちょっと高い。 関連リンク フランステレコム [芹澤隆徳, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
最新スペック搭載ゲームパソコン
最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
FEED BACK |