70年代にブロードバンドがあったらエライことに……みうらじゅん音楽情報サイト「BARKS」が提供する、究極のマニアック番組「仮性フォーク」。番組収録現場では、みうらじゅんさん、山田五郎さんの怪しげなトークが爆発していた
インターネット番組といえば、マニア狙いのコアな番組も多い。しかし、これほどまでにコアな番組は、ほかに例がないだろう。 音楽情報サイト「BARKS」で11月8日から始まったインターネットラジオ番組「みうらじゅんの仮性フォーク」は、みうらじゅんさんが学生時代に作成した17枚のオリジナルアルバム、計400曲を紹介するという異色の企画(記事参照)。高校生の頃のみうらじゅんさんが、真夜中にギターをかき鳴らして録音したテープを、山田五郎さんらと共にスタジオで聞き直すという内容だ。録音には時折、外を走る車のエンジン音が混じるなど、大胆な構成となっている。 番組ではまた、若者がフォークソングにはまった1970年代を振り返り、「一人称が“私メ”とか“小生”だった」「田中真理がよかった」などと時代背景を紹介する。今回は、番組の第3回、4回の収録現場におじゃまして、2人に話を聞いた。
みうらじゅんさんと、山田五郎さん。山田さんはゲストという扱いだが、なぜか毎週出演している タイトルとなった「仮性フォーク」とは、なかなか深遠なフレーズだ。みうらさんはその意味を、「“カントン”なら手術が必要。しかし仮性フォークなら、ある程度までフォークにハマっているが、手術をするほどではない」と説明する。いきなりの下ネタ炸裂だが、ここで目まい感じているヒマはない。 みうらさんが作詞・作曲した歌のタイトルを見ると、「女性上位反対のうた」「おーなに」など、凡人には意味を計りがたいものが目立つ。「ポイントは、この歌を作っているとき童貞だったこと。童貞にしか作れない歌ですね、これは」(みうらさん)。
仮性フォークは、今夏から始まった音声・画像複合型コンテンツ「BOWチャンネル」の一環として提供される。Windows Media Playerをインストールしてあり、56Kbpsの帯域を確保できれば、無料で視聴可能
コンテンツはAdvanced Script Indexerで編集、制作され、タイムテーブルに沿って画像がプッシュされる。画像をクリックすると別のサイトにジャンプするなど、双方向性を持った仕掛けも ひとたび曲が流れ出すと、そこには独特の世界が出現する。たとえばある曲は、当時みうらさんが自分で書いたライナーノーツによると「ハーモニカがイイ」。この曲を聞き終えた山田さんは「5分58秒の曲のうち、4分ぐらいはハーモニカやん!」と絶叫。 しかも、次の曲のライナーノーツには「ハーモニカがいやにしつこい」との記述が。これを見た一同、「こ、これはヤバイですね……」と戦慄。「いやー、山田先生には本当に悪いなと思ってます」(みうらさん)。 スタジオでは、ほどよく力を抜いた奔放なトークが展開される。当時みうらさんは、不良にあこがれをもっていたていたことが判明。不良を目指し、さまざまな悪事を働いていたと話す。ひとしきり聞いていた山田さんは、その内容を総括して「しかし、あんたの描く不良とは、部屋にとじこもってエロ本を読んでいるだけやな!」「ええ……今でもやってますね」(みうらさん)。 みうらさんの話によれば、不良のたしなみとして当然、家出も試みたという。「ただし、1日だけ。それも春休みを利用した」(みらうさん)。それは旅行だ、という周囲のツッコミを気にすることなく、みうらさんは続ける。「ただし、気が合わないやつと出かけてしまった。あれは失敗でしたね」。
山田さんは、「今の若者はよく“70年代っていいよね”と話すが、70年代がどれだけ恥ずかしい時代だったか!」と話す。 「もし、あの頃ブロードバンドが普及していたら、もう今どころの騒ぎじゃないね。日記サイトなんて、今の10倍はあるね」(同)。 これにはみうらさんも同意見のようで、「(インターネットオタクの)気持ちはよく分かる。僕も、絶対やってましたね。当時は、家に来た友だちに自分の曲を無理やり聞かせていたが、インターネットがあれば世界に配信していたでしょう」。 ちなみに、現在のみうらさんは、まだナローバンド環境のままとのこと。インターネット番組をやるようになって、周囲の反応はどうかと水を向けると「ええ、一切知りません!」と力強い答え。 最後に、みうらさんに今の若者に向けたメッセージをお願いした。 「恥ずかしいということは、どういうことか……と。よく街中で、2人連れでギターを弾いている奴がいるでしょう。そんなのは1人でやれ!といいたいね」。 関連記事 バークス、新番組「みうらじゅんの仮性フォーク」 バークス、1Mbpsのストリーミング配信を開始 バークス、新宿と下北沢のライブハウス映像を配信 関連リンク BARKS [杉浦正武, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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