ソニーが「ブロードバンドAVルータ」を出す理由ソニーがSo-netブロードバンド会員向けに販売する「ブロードバンドAVルータ」(HN-RT1)は、単なる無線ルータではない。ソニーがグループをあげて取り組む、ホームネットワークサービスの“入り口”を担う製品だ。その位置付けと機能とは?
SCNが12月4日に発表した一連の新戦略には、ホームネットワークサービスの本格展開開始という側面がある。「VAIO」をホームサーバとして、「CoCoon」「Playstation 2」、あるいは2003年に登場する見込みのネットワーク対応「WEGA」といった端末をネットワーク化し、インターネットに接続する。その“入り口”として重要な役割を持つのが「ブロードバンドAVルータ」(HN-RT1)だ。
「ブロードバンドAVルータ」(HN-RT1)。2003年2月上旬に発売予定 HN-RT1は、IEEE 802.11b準拠の無線アクセスポイント機能と4ポートスイッチングハブ(10/100BASE-TX)、そして側面にメモリースティックスロットを搭載するブロードバンドルータ。価格や詳細なスペックはWebサイトに順次掲載される予定だが、スループットは「実効97Mbps」(ソニー)とFTTHでも必要十分な数字を叩き出すという。 もちろん、「AV」を名乗るだけあって単なる高速ルータではない。オーディオやビデオのように連続したデータを伝送する場合、ネットワークの遅延は致命的。そのため、受信中のクライアントとの間で最低限の帯域幅を確保する機能が求められる。この対応として、ブロードバンドAVルータは、LANポート毎に処理の優先順位をつけるQoS機能を搭載しているという。 ただ、AVの無線伝送に積極的なソニーは、IEEE 802.11bよりも帯域幅の広いIEEE 802.11a対応製品を多く販売している。今回IEEE 802.11bを採用した理由についてSCNビジネス推進室の平林信隆室長は、「現時点ではIEEE 802.11b対応の機器が主流。接続性を確保するため、今回は11bを採用した」と説明している。IEEE 802.11aが普及したときには、無線LANの仕様を切り替える可能性もありそうだ。
ホームネットワーク全体の使い勝手向上に一役買うのがメモリースティックスロットの存在だ。ソニーはこれを、宅内AV機器の設定やファームウェアアップデートに利用することを検討している。 本来ならば、各機器が自動アップデート機能を持つのが理想的だが、AV機器まで含むホームネットワークとなると今のところ実現する可能性は低い。そこで、過渡的な手段としてメモリースティックを媒介とするアップデートを提供する。「Webブラウザを使った手動ダウンロードにより、メモリースティックにデータを入れて該当機器に持っていく方法が有力だ」(SCNの平林氏)。 また、アップデートの必要があるとき、ブロードバンドAVルータが自動的にダウンロードしておき、液晶画面などを通じてユーザーに通知するといった使い方も検討中という。この場合、ユーザーはメモリースティックを取り出し、該当する機器に挿入するだけで済む。平林氏は、「最終的にはユーザーが“設定にさわらない”環境を作りたい」としている。
ソニーマーケティングの執行役員、佐藤一雅氏によると、同日発表された放送型ストリーミングポータル「So-net TV」は、「開始当初こそPC専用だが、いずれWEGAやCoCoonでも視聴できるようになる」という。つまり、家中のいたる場所でAVとオンラインコンテンツをシームレスに利用できる環境が現実となる。しかもそれは、「遠い将来の話ではない。直近の現実だ」(佐藤氏)。 AVとオンラインコンテンツをホームネットワークでシームレスに扱うためには、セキュアなネット接続環境と家電レベルの簡易なユーザーインタフェースが不可欠だ。その役割を担うのは、一般的にRG(Residential Gateway)として各社が開発を進めているもの。つまり、ソニーはブロードバンドAVルータを“ソニー流Residential Gateway”に仕上げようとしている。 「ブロードバンドAVルータは、ホームネットワークとインターネットを繋ぐもの。もちろん、セキュアでなければならないが、この分野の標準化はまだ十分ではない。ソニーが率先して提供する」(佐藤氏)。 また同時に、こうしたホームネットワークを実現するには、ネットワークを持つSo-netとハードウェアを提供するソニーが連携して動く必要がある。So-netのブロードバンド会員(ADSLおよび光接続)専用のブロードバンドAVルータをソニーが供給するという形は、それを象徴するものといえそうだ。 関連記事 So-net、IP電話を含むサービス強化策を発表 関連リンク ブロードバンドAVルータ [芹澤隆徳, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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