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2003/05/23 21:15:00 更新 |
LinuxWorld2003レポート
ソニーがLinuxWorldで講演〜情報家電と組み込みLinux
Linuxは、サーバなどエンタープライズ向け製品では多くの採用実績があるものの、実際にエンドユーザの目に触れることは少ない。しかし、Linuxは各種機器への組み込みOSとしても注目され始めている。
Linuxは、サーバなどエンタープライズ向け製品では多くの採用実績があるものの、実際にエンドユーザの目に触れることは少ない。しかし、Linuxは各種機器への組み込みOSとしても注目され始めている。
LinuxWorld Expo/Tokyo 2003の3日目には、ソニーの所眞理雄氏による「Linuxは情報家電のプラットホームになれるか?」と題した基調講演が開催された。組み込みLinuxはこれまでのOSと比べて、開発コストの削減やオープンソースのため改良しやすいなどの利点がある。しかし組み込みLinuxの採用は、これまで引き継がれてきた家電の開発スタイルや同業者である“あの”会社との関係などにも大きな変化をもたらしたようだ。
同氏によると、家電の開発はこれまでカテゴリごとにチームを組んで進めていたという。これには、各カテゴリに特化した技術者がよい製品を生み出せるという利点がある反面、横のつながりが少なく共通した技術が採用される事は少ないという欠点があるという。そのため、「この開発スタイルは、すべての製品を相互につなげるという戦略にはそぐわないものになっている」とした。
そんなこともあり、今後開発する情報家電には組み込みLinuxを採用すると決めたという。
この組み込みLinuxの採用により、先に挙げた開発スタイルは変わりつつあるという。同氏は、「プラットフォームテクノロジーセンター プレジデント」という肩書きを持っており、ここでは組込用Linuxなど開発を進め、成果はグループ全体で活用されるという。これは、これまでの家電の開発にはない手法だという。
さらに、同社は2002年12月に松下電器などと共同で組み込みLinuxを開発すると発表している。同氏によると、松下電器と同席した際に「デジタルテレビの開発は大変だね」との話題が出たという。デジタルテレビといえば、ネットワークと融合してさまざまなサービスが提供できる有望な製品だ。もちろん両社とも開発を進めているが、開発期間や費用の増大、採用するプラットフォームの選択など同じような悩みを抱えていたようだ。このような思惑が一致したこともあり共同で進めることになったという。
ソニーと松下といえばメモリースティック vs SDメモリーカード、DVD+RW vs DVD-RAMなど、創業当時からライバル関係にある会社といっていいだろう。しかしここに来て、情報家電の心臓となる組み込みOSを共同で開発する事になったのは驚くべき事だ。同氏は「情報家電は2006年にはPCよりも市場規模が大きくなる」との予測を示した。このことからも分かるように、同社は組み込みLinuxの開発にかなり注力していくようだ。
冒頭で「Linuxのイベントでコンシューマーエレクトロニクスの講演をするのはおろらく初めてではないか」と所眞理雄氏
これまでの家電はカテゴリごとに採用する技術がそれぞれ独立していた。組み込みLinuxではOSとミドルウェアを共通化する
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ソニー
[記事提供:RBBTODAY]