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2003/05/28 23:10:00 更新 |
日本ケーブルラボ、双方向デジタルSTBの接続検証を公開
CATVの双方向サービス仕様「JCL SPEC-010 デジタル放送双方向運用仕様」(暫定版)が策定され、日本ケーブルラボで公開デモンストレーションが行われた。デジタルSTBの通信機能を活かし、WebブラウズやWebメールのほか、EPGなどの各種ネットワークアプリケーションが利用できる
日本ケーブルラボは5月28日、CATVの双方向サービス仕様「JCL SPEC-010 デジタル放送双方向運用仕様(暫定版)」に対応する製品の接続検証を実施、CATV事業者や報道関係者に公開した。同仕様に対応したCATVサービスでは、デジタルセットトップボックス(以下、STB)の持つ双方向通信機能を活かし、WebブラウズやWebメールのほか、EPGなどの各種ネットワークアプリケーションが利用できる。
パイオニアのデジタル・アナログ両対応STB「BD-V2TC」。D4映像出力やAAC 5.1ch対応光音声出力などを備え、ハイビジョン対応のAV機器としても遜色のないスペックを誇る。カバーに隠れて見えないが、B-CASおよびC-CASカードスロットも装備
Webブラウザの画面。操作はリモコンの上下左右キーと決定ボタンで行う。リモコンの数字キーを使い、携帯電話と同様の文字入力が可能だ。また、「TVプラグイン」機能により、視聴中のTV画面を子画面として表示できるのも特徴
JCL SPEC-010は、双方向サービスを計画しているCATV事業者やメーカーの要望を受け、ケーブルラボが仕様をまとめたもの。デジタル放送システムを前提としており、従来の片方向STBと共存しつつ、双方向システムを構築できる点が特徴だ。
また、ネットワークインフラはDOCSIS仕様準拠のため、双方向通信サービスやインターネット接続も高速だ。接続時にSTBの認証を行うほか、センター側から端末の動作状況を確認する機能などもあり、信頼性と安全性の高いネットワーク環境を提供できる。リビングルームのTVでWebやメールが楽しめるのはもちろん、将来のVoD(ビデオ・オン・デマンド)やTコマース(TVによるEC)への道も拓くことになるだろう。
地域密着のネットワークサービスも
JCL SPEC-010対応の局側システム。センターモデムのほか、双方向STB制御サーバ、ポータルサイト用のWebサーバ、アプリケーションサービス用のサーバなどで構成されていた
今回の接続検証には、スターキャット・ケーブルネットワーク、シーテック、ブロードネットマックス、パイオニア、富士通ネットワークソリューションズの5社が参加。このほか、東芝の社会ネットワークインフラ社が、「地域密着というCATVの特色を活かすコンテンツサービス」(同社)をデモンストレーションしている。
東芝の「ここだよ、みつけて!」。GPS携帯電話やPHSの位置情報を使い、家庭のTVで持ち主の現在位置を示してくれるサービス
TVウェブメール「めーるがじょうず!」。定型文やソフトウェアキーボードの機能が充実しており、お年寄りや子どもでも簡単にメールを利用できる。画像の添付にも対応
Webブラウザで使える連絡回答システム「連絡だよ、回答集合」。ブラウザから情報を発信すると、リストにあるメールアドレスにメールを一斉送信する、いわばWeb版メーリングリスト。ブラウザ上で返信状況の確認や集計も可能。マンションや地域コミュニティでの利用を想定している
スターキャットでは、地上デジタル放送の再送信開始に合わせ、ハイビジョン放送や双方向サービスを提供する予定だ。このため、パイオニアのSTBを利用できる標準仕様の策定を求めてきたという。
「JCL SPEC-010の策定は、これまでのようにメーカー主導ではなく、オペレータ(CATV事業者)の要望が色濃く反映された。今後、ケーブルテレビの仕様策定における“雛形”となるだろう」(スターキャット)。
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日本ケーブルラボ
スターキャット・ネットワークス
[芹澤隆徳,ITmedia]