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2003/07/18 14:51:00 更新 |
WIRELESS JAPAN 2003
無線インフラの最前線をさぐる (1/2)
東京ビッグサイトで開かれている「WIRELESS JAPAN 2003」で、無線インフラの最新技術をテーマにカンファレンスが開かれた。トップバッターとして壇上に立った東京電力 光ネットワーク・カンパニー バイスプレジデントの板橋敏雄氏だ。
東京ビッグサイトで開かれている「WIRELESS JAPAN 2003」で、無線インフラの最新技術をテーマにカンファレンスが開かれた。
5GHz帯無線アクセスサービスの展望
トップバッターとして壇上に立った東京電力 光ネットワーク・カンパニー バイスプレジデントの板橋敏雄氏は、同社が今年中の商用展開を目指して実験中の5GHz帯を使った無線インターネットアクセス事業の展望について講演した。
冒頭、板橋氏はインターネットアクセスの過去と現在、近未来についてふれ、「かつてマニア層の道具だったインターネットは今や大衆化し、ADSLの登場がトリガーになってブロードバンドが当たり前の時代になった。それと並行してパーソナル化も進み、1家に1回線の時代から、家族1人に1回線の世の中に変わった」と語った。
そして加速する広帯域化について「近未来にはコンシューマはADSLでは飽き足らなくなり、FTTHへの移行が進む」と前置きしながら、「今は『Mbps級』の世界だが、数年以内には100Mbps級の時代がくる。それにつれて使い方もWebの閲覧やメールだけではなく、上りをフル活用して個々人が情報発信するようになるだろう」と予測を述べた。
だがその一方でFTTHは、集合住宅への引き込みがむずかしいケースがあるなどの問題を抱えてもいる。そこで注目されているのが、アクセス部分を無線化する技術である。
同社が実験を進めている5GHz帯無線アクセスサービスは、電柱に無線基地局を置き、ユーザ宅のベランダなどにそれと対になる無線アンテナを設置するしくみだ。これを使えば各戸ごとに光ケーブルを引き込む必要はなくなる。
板橋氏は開発からこれまでに至る経緯についてふれ、「2001年6月〜2002年1月にかけて開発し、昨年8月には実験局の免許を交付された。実験は昨年9月〜12月末にかけて行なったが、結論として商用サービス化に問題はないと判断した。目下、プロトタイプの機器を使い、最終的な確認作業をしている段階だ。年内のサービスインを目標にしている」と宣言した。
板橋氏によれば、方式としてはIEEE802.11aに準拠しており、「スループットは最高で25Mbps〜26Mbps出ている」という。またサービス内容として、「次世代暗号化方式を採用する一方、上りの回線速度も重視して上下通信のバランスを取る。またVoIPも実現させる」とポイントを説明した。サービス形態としては各ISPへ卸売りする形になる。
さらにセールスポイントについて板橋氏は「まず手軽に短期間で開通させることが可能な点」を強調しながら、「5GHz帯は事業者専用の周波数帯であり、ノイズの心配が少なく高品質のサービスが提供可能になる。パフォーマンスが距離やノイズに左右されるADSLとくらべて充分に競争力がある」と、近い将来のサービス展開に自信を見せた。
ユーザ宅でベランダなどに設置するアンテナユニット。おおよそ縦20cm×横14cm程度のサイズだ
こちらは電柱に設置する無線基地局
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[記事提供:RBBTODAY]