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2003/08/01 23:47:00 更新 |
[CRL一般公開]
日本標準時は明石市ではなく東京の小金井市?
東経135度に位置する「明石天文台」。小学生の頃にここが“日本標準時”だと習った覚えがあるだろう。東経135度の真上に太陽がきたときが正午だと決められたからだ。しかし、“本当の日本標準時”は小金井市の通信総合研究所(CRL)にあるのだ。
このCRLでは、日本標準時の生成、比較、送信の3つを行っている。
まず日本標準時の生成だが、CRLに設置された10台の原子時計で決定されている。これら10台の原子時計は、気温、湿度、気圧はもとより地磁気にも影響されない部屋で運用されている。これら10台の結果をまとめるのが2台のコンピュータだ。この2台はそれぞれ独立して動いており、メインとバックアップという関係になっている。そう、このコンピュータこそが日本標準時なのだ。
これが日本標準時だ。右はバックアップになる
ここで生成した日本標準時を配信するのもCRLの仕事だ。配信方法は、電波時計などで用いられている長波帯標準電波、アナログ回線を用いたダイアルアップ、ISP向けのNTPサーバの3つが提供されている。
この中で特に興味深いのが長波帯標準電波だ。これはは、福島県の「おおたかどや山標準電波送信所」または、佐賀県の「はがね山標準電波送信所」から日本標準時を送信するというもの。最近は、置き時計や腕時計を買うと必ずと言っていいほど対応しているため一番身近だろう。
この長波帯標準電波だが、誤差をゼロに近づけるために気が遠くなるようなさまざまな手が尽くされている。たとえば、CRLと標準時送信所を接続して標準時をそのまま送信したらどうしても遅延が発生してしまう。この遅延による誤差を解消するため、標準時送信所では、CRLの標準時を参照しつつ独自に持った原子時計で標準時を生成しているのだ。さらに、標準時送信所内の原子時計からアンプを通してアンテナから電波が送信されるのにも微少だが時間がかかる。これら送信所内の遅延も計算されたうえで、標準時の電波が送信されているのだという。
さらに“比較”という作業も必要になる。世界中にはCRLのような標準時を生成する施設がいくつもある。これらの結果をまとめ、国際原子時と協定世界時を決めるのがフランスにある国際度量衡局(BIPM)だ。そのため、日本標準時が明石ではなく小金井なら、世界標準時はイギリス(グリニッジ天文台)ではなくフランスと言うことになるだろうか。
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通信総合研究所
[記事提供:RBBTODAY]