リビング+:ニュース 2003/09/18 21:11:00 更新

WPC EXPO 2003レポート
MPEG-2を持ち歩く贅沢?〜ソニー

MPEG-4再生機能付きの携帯端末がトレンドの「WPC EXPO 2003」だが、ソニーの「ハードディスクビデオプレーヤー」はひと味違う。MPEG-2再生機能付きの携帯ストレージだ。

 動画を持ち歩く。「WPC EXPO 2003」の会場を見渡すと、これが今年の重要なテーマであることがわかる。直前に「D-Snap」製品群を発表した松下電器産業はもちろん、東芝も「MPEG-4 Mobile Viewer」と「パーソナルビデオサーバー」を参考出展して追撃の構えをみせる。そんな中、ひときわ異彩を放っているのが、ソニーの「ハードディスクビデオプレーヤー」だ。

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デモ機に表示される映像は、情報量の多さのためかMPEG-4よりも“色のり”が良くみえる

 各社の携帯端末はもとより、「モバイル放送」などMPEG-4動画を使った放送サービスまでが登場し、少なくとも携帯用途ではMPEG-4が主流になりそうな気配。しかし、ハードディスクプレーヤーはMPEG-2を使うところがミソだ。「バイオ」の「GigaPocket」で録画したMPEG-2動画をUSB2.0もしくはi-Link経由でコピーし、3.5インチの液晶画面で再生できる。

 参考出展のため、搭載されるHDDのサイズや容量、バッテリー駆動時間などは一切公開されていない。ただし、外観を見る限り、操作ボタンはかなりシンプルで、動画再生を中心に機能はかなり割り切ったものになりそうだ。

MPEG2+HDDを採用する理由

 デモ機に表示される映像は、情報量の多さのためかMPEG-4よりも“色のり”が良くみえた。解像度は液晶のスペックに依存するが、全体的にMPEG-4動画よりも余裕を感じる。右側面にあるインタフェースカバーの下にはAV出力があり、家庭用テレビにつなげば大画面で映像を楽しめるという。

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インタフェースは未定というが、デモ機にはUSBのマークが……。またAV出力があり、家の中でもTVにつないで視聴可能。「友人宅やパーティにも気軽に持ち出せる」(ソニー)

 ただし、同社がMPEG-2を採用した理由は、画質だけではない。

 「理由の1つは携帯端末に移す際、(MPEG-4に)再エンコードする必要がないこと。高速インタフェースでコピーすればいいだけでいい。また、GigaPocketは外付けHDDを録画先に指定できるため、ビデオプレーヤーをバイオに接続しておけば、持ち出したい番組は最初からビデオプレーヤーに録画できる。コピーの必要すらない」(ソニー)。

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GigaPocketでは、外付けHDDを録画先に指定し、直接録画できる(画面はVAIO RXシリーズのGigaPocket)。ハードディスクビデオプレーヤーは、“携帯AV機器”であると同時に“ビデオ再生機能付きの外付けストレージ”として利用できる

 MPEG-4のハードウェアエンコーダーが一般化すれば話は別だが、今のところ、多くの製品は一度MPEG-2録画したものをMPEG-4にソフトウェアエンコードしている。CPUパワーと時間がそれなりに必要だ。また、いくらシリコンメディアが大容量になったとはいえ、まだまだ価格は高い。(3.5インチの場合)1Gバイトあたり100円前後にまで安くなったHDDと比べると、コスト面には大きな差がある。

 一方、HDDを携帯端末に使うと、きょう体サイズやバッテリー寿命の点では明らかに不利だ。バイオ専用周辺機器という位置づけも、マスマーケットを狙うには適さないだろう。「とくに新しい技術を使っているわけではないため、製品化しようとすれば、すぐにできる」はずの製品が、“参考出展”の域を出ない理由も理解できる。

 ソニーとしては、WPC EXPOで来場者の反応を見て、マーケティングの材料にしたいというのが正直なところのようだ。逆に、ハードディスクビデオプレーヤーが欲しいと思った人は、ソニーブースで訴えてみるといいかもしれない。

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[芹澤隆徳,ITmedia]



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