リビング+:ニュース 2003/09/22 22:13:00 更新


WiMAX――Intelが賭けるもう一つのワイヤレス技術 (1/2)

IDF最終日はさながらワイヤレスデイだった。出遅れている802.11では来年以降の強化戦略を打ち出すとともに、もう一つのワイヤレス技術、WiMAX(802.16a)では、2004年後半にも低価格かつ高性能な対応チップを投入する方針を明らかにした。

 Intel Developer Forum Fall 2003最終日は、さしずめ“ワイヤレスデイ”といった趣きだった。既報のようにパット・ゲルシンガー氏が近未来の無線LAN技術を解説し、そして上級副社長兼コミュニケーショングループCTOのエリック・メッツァー氏は、2004〜2005年にかけての、二つのワイヤレス業界標準に対する同社のコミットメントを表明した。

 メッツァー氏は通信媒体の変化を、カタリスト、つまり反応を促進するための触媒にたとえ、次のように話した。

 「銅線から始まったインターネットの歴史だが、銅線が光ファイバーになることで、世界中にインターネットが広まった。媒体が光にならなければ、これほど膨大な通信トラフィックを抱えきれることはなかっただろう。同様にワイヤレス技術、すなわち電波がインターネットをより一層成長させる触媒となるだろう。ワイヤレスの可能性に関しては、技術的な側面を無視したまま過大評価されている面もあるが、ワイヤレス技術が業界に対して果たす役割が大きいことは間違いない」

Wi-Fiは企業を意識した機能拡張で差別化

 そのうちの一つは、言うまでもなくIEEE802.11、Wi-Fiに対応する製品である。Intelは自社製無線LANチップとして、Centirino Mobile Technologyの一部となっているIntel PRO/Wireless 2100、コードネーム“Calexico”を持っている。しかし、この製品の競争力は決して高くない。いや、機能や性能といった要素だけで見れば、ほとんど競争力がないと言ってもいい。 本来、Calexicoは802.11a/bデュアルバンドの無線LANチップとして設計されていたが、Intelが設計した802.11a部分に深刻なバグが発見され(802.11b部分は他社から購入した技術を使用していたため無事)、急遽、802.11bのみのサポートで投入された経緯がある。しかも他社製に比べ消費電力が低いといった触れ込みもあったが、実際にふたを開けてみると他社に対するアドバンテージなど存在しなかった。

 それでも顧客がCalexicoを採用し、CentrinoマシンとしてPentium M搭載機を中心機種としておくのは、プロセッサやチップセットとの抱き合わせセットで魅力的な価格が提示され、また広告費のキックバック増額というボーナスが得られるためだと言われている。

 そんなCalexicoではあるが、CCX v1への対応は他社に対するアドバンテージとなっていた。CCXとはCisco Compatible eXtentionの略で、Ciscoがセキュリティを高めるためにWi-Fiを独自拡張していたものを、外部仕様として公開したものだ。これまでCiscoベースで構築された企業向けの無線LANシステムに接続するには、Cisco製の無線LANカードが必要だった。

 しかし、Cisco側としては自社製無線LANカードに縛り付けて利益を得ようとしているわけではない。あくまでも企業ソリューションとしての差別化を行いたいだけだ。そうしたCisco側の考えと、無線LAN内蔵を戦略の軸とするCentrinoプラットフォームのコンセプトが一致して、互換機能のライセンスが決まった背景がある。

 現在のところ、ユーザー企業側がCalexicoの持つCCXの評価を終えていないのか、営業面での大きな武器にはなっていないようだが、Ciscoの提供するソリューションを利用するためには、Cisco製無線LANカードを利用する、Cisco製無線LANカードミニPICIカード内蔵機種を選択する(機種選択肢は非常に狭い)、Centrinoマシンを選択する(ほとんどのPCベンダーが提供)、のうちから選択しなければならないことを考えると、中長期的にはCalexicoの競争力を高めるだろう。

 IntelはこうしたCalexicoの強みをさらに強化していくつもりだ。Intelの無線LANチップ出荷計画は、BroadcomやIntersil、Atheros Communicationsなどの無線LANに特化しているベンダーに比べ、ずっとおとなしいものだ。来年になっても、Intelの無線LANチップがそれらに追いつくのは難しいだろう。

 年内、Intelは802.11a/bデュアルバンドに対応するが、これは本来この3月にリリース予定だったCalexico本来の機能が有効になっただけに過ぎない。また来年早々に802.11b/g対応、来年後半に802.11a/b/gへのトリプル対応が行われる予定だが、これも現時点でデュアルバンド/トリプルスタンダードに対応している製品が存在することを考えると、何ら魅力とは言えない。

 しかし来年の802.11b/g対応版以降の製品には、次世代チップのCalexico 2が使われる。Calexico 2はセキュリティとQoS、二つの面で進化した製品になる見込みだ。IntelはCalexico 2で802.11i(AES)、CCXの次期バージョン、802.11e対応のQoS機能をサポートする(初期版はすべての機能をサポートしない可能性があるが、ファームウェアレベルの更新でサポート可能とのこと)。

 また、無線LAN用ユーティリティの改良についても言及した。IntelはCentrino戦略を推し進める前、無線LANの自動オフやロケーション切り替えなどを行うユーティリティの優位性について得意げに語っていたが、現時点でIntel製ユーティリティを使うのは、一部のアセンブリメーカーだけ。ノートPCベンダーの多くはワイヤレス接続のユーティティを、企業向け製品の差別化要素として自社で開発している。

 しかしメッツァー氏は「PRO/Wirelessシリーズのユーティリティは、Mobile IPサポートなどローミング対応を強化し、管理性を向上させることで企業向けPCへの実装に耐えうるものを2004年に提供する。さらに、PCベンダーがカスタムのGUIを構築できるソフトウェア開発フレームワークとしても利用可能だ。

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IntelのWi-Fi向けチップ出荷計画。新標準への対応は遅れ気味なIntelだが、企業向けソリューションの提供やソフトウェア面でのサポート強化、そしてCentrino戦略で事業を立ち上げていく

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[本田雅一,ITmedia]



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