リビング+:ニュース 2003/11/26 23:59:00 更新


非P2Pとして「黄泉返った」米Napster 〜日本でのサービスインは?

P2Pの代名詞のようにいわれ、世間を席巻しながら、一度は廃れてしまった「Napster」。しかし米Roxioの手によって、センターサーバモデルの音楽配信サービスに姿を変え、再び我々の前にその姿を現した。日本でのサービスインも予定されているというのだが……

 P2Pの代名詞のようにいわれ、世間を席巻しながら、一度は廃れてしまったファイル交換サービス「Napster」。しかし米Roxioの手によって、センターサーバモデルの音楽配信サービスに姿を変え、再び我々の前にその姿を現した。

 Roxioは報道向け説明会で、Napsterの概要を実際のデモを交えて説明した。会場ではRoxioのNapster部門社長、マイケル・J・ベベル氏が、日本でのサービスイン時期にも言及した。

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RoxioのNapster部門社長、マイケル・J・ベベル氏。以前は米Pressplayの社長を務めていた

 まずは、ここ1年ほどのRoxioの動きを、簡単におさらいしよう。同社は2002年11月に、企業として破綻したNapsterの資産・ブランドを約500万ドルで買収。さらに、米オンライン音楽配信サービスを手がけるPressplayも買収した(記事参照)。今年10月には、Pressplayのユーザーインタフェースをベースにした音楽配信サービスを、“Napster”ブランドで提供開始。第1週で、いきなり30万曲以上を売り上げるという、好調な滑り出しを見せた。

 Roxioといえば、CD・DVD書き込みソフトメーカーとの印象も強いが、「今後はデジタルメディアの総合企業となる」と、ベベル氏。Napsterは、この路線での中核サービスとして位置付けられるという。

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米国のメディアなどに掲載された、Napsterの広告。“It's coming back”――サービスのトレードマークとなっているネコが、黄泉返った――

P2Pを捨てたNapster

 既に明らかにされたとおり、新生Napsterはセンターサーバ型のサービスだ。その魅力は、“P2Pファイル交換”ではなく、豊富な楽曲数や、ユーザービリティなどにある。

 現状、Napsterが揃える楽曲数は50万曲以上。5大レーベルや、インディーズと正規の契約を結び、これだけの楽曲数を揃えた。「iTunesの2倍だ」(ベベル氏)。

 また、“アラカルト方式”を採用している点も、Napsterのウリだ。1曲99セント/1アルバム9.95ドルで楽曲を販売する「Store」のサービスのほかに、月額9.95ドルを支払うことで、サーバ上の全データを再生し放題となる「Subscription」のサービスも用意している(記事参照)。同社はこれをアラカルト方式と呼んで、ほかの事業者との差別化ポイントに挙げている。

 「Microsoftの楽曲配信サービスでは、“Store”しかない。こちらには、“Subscription”もある」(ベベル氏)。

 ちなみに、Subscriptionでも楽曲をダウンロードできるが、ダウンロードしたPCでしか再生することはできない。データのコピー、CDへの書き込みなどは不可能。月額料金の支払いをやめた場合、いったん落とした楽曲も再生不可能になる。

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サイトのインタフェース。ジャンル別、アーティスト別に検索できるほか、新曲のレコメンデーションも行われる

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アーティストで検索したところ。よく利用される「人気順」に楽曲が並んでいる。クレジット登録していれば、楽曲を選択することですぐに購入可能だ

 新Napsterには、P2Pの名残がかすかに見え隠れする部分もある。ダウンロードした自分の楽曲リストを、公開できるのもその一つ。ユーザーは、ネット上で他人のリストをのぞきこみ、その趣味を確認することができる。気になった曲名をクリックすれば、それを試聴〜ダウンロードすることも可能だ。

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自分の楽曲リストを、他人に公開したところ

 ただし、このとき楽曲ファイルはそのユーザーのローカルファイルからではなく、事業者のサーバからダウンロードされる。Roxioは、あくまでNapsterの“ブランド”、言い換えれば“高い認知度”だけを利用したい考えのようだ。

 「市場調査した限り、ユーザーが音楽配信に求めているのは、クオリティ、イノベーション、ユーザービリティなど。“P2P”という項目は、入ってこなかった」(ベベル氏)。

日本での展開は?

 以上、見てきたNapsterのサービスだが、日本では残念ながら、現状利用することはできない。理由は、「クレジットカードが、米国での支払いになっている必要がある」(Roxio)ためだ。

 しかしベベル氏は、日本でのサービスインも視野に入れていると話す。会場では、「今後1年以内にサービスを開始したい」と明言した。

 これだけの楽曲数が揃っているなら、すぐにでも日本で配信開始してほしいと考える洋楽ファンもいるだろう。しかし、ベベル氏はNapsterを国際展開するにあたり、ローカルな楽曲データ、すなわち邦楽を揃えることの重要性を説く。

 「ユーザーにとって、欲しい楽曲が配信リストにないことは、ストレスになる」。現在は、日本の各レーベルと交渉も進めている段階だとした。

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米国では、NapsterソフトをインストールしたSAMSUNG製「Napsterプレーヤー」も発売されている。実売小売価格は349ドル程度。日本でサービスを開始した場合には、同様の端末を投入する可能性もあるとのこと

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20GバイトのHDDを備え、5000曲を持ち運ぶことができる。フォーマットは、MP3やWMAに対応

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操作すると、インジケータが青く光る(左)。メニュー画面からも分かるように、FMチューナー内蔵で、FMトランスミッターも備える(右)

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関連リンク
▼ロキシオ・ジャパン

[杉浦正武,ITmedia]



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