CATVにも時代の流れ。CTYが3月末で従量料金メニューを廃止へ。ケーブルも新たなサービスを考えるときに
ケーブルインターネットの歴史は、品質重視の従量料金制度とベストエフォートを基本とした定額・低額サービスの2つで作られてきたといえる。
もともとケーブルインターネットの課金には、2つの流れがあった。ひとつはブロードバンドという部分に着目し、品質と速度を重視した高速の従量課金のサービスであるべきというものだ。そして、もうひとつは自前のシェアドアクセスラインという面を活かし、定額のベストエフォートサービスであるべきというものである。ケーブルインターネットは初期よりこの2つの考え方が存在しており、従量課金であればCTYや武蔵野三鷹が、定額であればイッツ・コミュニケーションズが採用していた。このあとに続く初期のケーブルインターネット会社は、ほぼ半数に分かれて定額もしくは従量課金制度を採用している。
結果として、テレホーダイやフレッツ・ISDNの登場により、定額にめざめた利用者はケーブルインターネットにも定額サービスを求め、従量課金のケーブルインターネットも徐々に定額サービスを導入したり、定額サービスに切り替えることになった。ケーブルインターネットの帯域制限は、まさにこの定額サービスを実現するためにうまれた流れともいえ、フル開放の従量課金サービスに対して帯域制限で定額サービスを提供するという差別化で、従量課金を推していたケーブルインターネットサービスは、徐々に定額サービスへシフトを始めたといえそうだ。
こうした中で、従量課金、品質重視のサービスを提唱していたCTYも、帯域制限をかけた定額料金の導入に続き、定額サービスの通信速度の拡大と進み、結果的に従量課金の旗をおろすことになった。これも利用者が求める時代の流れに合わせた結果といえそうだ。
いずれにしても、ケーブルインターネットは8Mbpsの定額ADSLサービスが登場してきたことで、ADSLと対抗できるだけのサービスにしなければならない。もはや、現実的に従量課金での品質を重視したサービスを提供するよりも、既存の定額サービスの品質を向上しなければ、利用者自体がほかのアクセスラインに流れてしまう可能性すらでてきたといえそうだ。
これから、ケーブルインターネットは新たなコンペティタを多数迎えることになる。8MbpsのADSLサービスに加えてFTTHサービスと、ケーブルインターネットの仕様を越えるサービスすらやってくる。これらの新たなアクセスラインに対して、ケーブルインターネットは十分差別化できるための新たなサービスを模索しなければいけない時代になってきたともいえそうだ。少なくとも、定額、高速の旗印はケーブルだけのものではなくなってきている。地域密着と再放送をうまく生かしたサービスがケーブルには求められているのかもしれない。
いま、CTYが従量課金の旗をおろしたことにより、インターネットサービスを初期より提供してきたグループのうち、従量課金メニューを一部に残しているのは水沢テレビだけとなっている。
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