インターネットは広告媒体からマーケティングツールに −Web広告研究会

【 国内記事】 2002年4月9日更新

 「ブロードバンド=動画広告、という見方はしないほうがいい」

 日本広告主協会 Web広告研究会の真野英明代表幹事は、記者懇談会の席上でこのように述べ、ブロードバンドの普及は、増えた帯域でリッチメディアCMを発信できるようになったというより、むしろ常時接続の特性を活かしてマーケティングツールとして見るべきだとした。

 とはいえこれは、動画広告自体を否定するものではない。

 むしろ、昨年から今年にかけて同研究会も参加したいくつかの動画広告実験では、静止画像のバナー広告と比べてブランド認知率や広告接触時間が大きく、総じてユーザの反応は好意的だったという結果が得られている。動画広告については現在、特に音楽素材の権利処理が足かせとなっているが、今後、Web広告の一手法として重要な位置を占めていくのは確実だろう。

 インターネット向けの広告費が以前ほど急拡大していない、インターネット広告市場はかつての勢いを失ったのではないか、といった一般の指摘については、倍々で伸びていたのはもともとの規模が小さかったからで、成長につれて伸び率が鈍化するのは当然だとした。また、トヨタ自動車のGAZOOを引き合いに出し、各企業が自社サイトの運営などインターネットを利用した広報宣伝活動全体に投入している予算は非常に大きく、単純にバナー広告などの広告出稿費だけを見ていては不十分だとも述べた。

 今後については、バナー広告や動画広告のほか、テキスト広告やオプトインメールなどさまざまなネット広告、さらには従来メディア(活字、電波)とのメディアミックスを効果的におこなうモデルの構築が必要だとし、普及が待たれるIPv6についても、個別端末の識別が可能になることからマーケティングに大いに活用できるものとして期待を寄せていた。

 Web広告研究会は、社団法人日本広告主協会で1999年4月より活動しており、インターネット広告に関する情報交流の場として、セミナー・フォーラムの開催や、広告手法などの実験などをおこなっている。また、研究成果をまとめた書籍として、この3月にインプレスより『Webマーケティング年鑑2002』を刊行している。

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