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» 2019年04月26日 07時34分 公開

見通しの甘さと誤算:廃虚として次世代へ 平成に生まれた愛知の未来鉄道 (1/2)

まもなく終わる平成。その時代に開業したものの、わずか15年で平成のうちに廃線となった「鉄道」がある。愛知県小牧市にある桃花台(とうかだい)ニュータウンの住民の通勤、通学の足として期待された新交通システム「桃花台線」だ。

[産経新聞]
産経新聞

 まもなく終わる平成。その時代に開業したものの、わずか15年で平成のうちに廃線となった「鉄道」がある。愛知県小牧市にある桃花台(とうかだい)ニュータウンの住民の通勤、通学の足として期待された新交通システム「桃花台線」だ。廃止から12年あまり経過した現在も高架や駅はほぼそのまま廃虚として残る。甘かった需要予測や経済状況の変化が生んだ負の遺産となっている。

 高層マンションや一戸建て住宅が建ち並ぶニュータウン。その景色の中で「異物」が雨ざらしでそびえ立つ。高速道路を思わせるコンクリート製の高架。しかし、それは道路ではなく、平成3年3月25日に開業したものの、業績の低迷で18年9月いっぱいをもって営業を終えた鉄道の残骸だ。

 開業からおよそ1年半すぎたころに発売された「JR時刻表」の1992年8月号を開いてみよう。私鉄やバスの時刻が掲載される「JRバス&会社線」ページの「名古屋市内と近郊の電車」の項に桃花台新交通の桃花台線がある。

 愛知県、小牧市、名鉄などが出資した第三セクターが運営し、小牧駅から桃花台ニュータウンにある桃花台東駅までの全7駅、7・4キロを約15分で結んでいる。高架(一部地下)の専用軌道をゴムタイヤで走行する新交通システムだ。

桃花台東駅から伸びる折り返し用のループ線。周囲を圧倒する大きさだ

 残されたままの桃花台東駅にいくと、ループ状の高架が圧倒的な存在感を示す。到着した車両が折り返すため、これを使って反対側のホームに入る。車両は常に同じ方向へしか進まないため、進行方向の右側にしかドアがない。同様の高架は小牧駅にもある。

 ニュータウンの名前にちなんで「ピーチライナー」と呼ばれ、東海地方初の未来の乗り物と注目された平成生まれの鉄道がなぜ、令和の時代を迎えられなかったか。要因は時刻表の巻頭地図から読み取れる。

 桃花台線と小牧駅で接続する名鉄小牧線を地図でたどると、都心には届かず、どの路線にもつながっていない上飯田駅で途切れている。そこから名古屋都心へ行くには、1キロ弱離れた地下鉄名城線平安通駅まで歩く必要があった。これを敬遠するニュータウンの住民の多くは、近くの春日井駅や高蔵寺駅までバスで向かい、JR中央線を利用した。平成15年、遅ればせながら上飯田−平安通間に鉄道が開通するが、ピーチライナーの利用者が大幅に増えることはなかった。

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